こんにちは!
Advanced TechnologyチームのPramendraです。
Advanced Technologyチームは、世界中のビジネスおよびテクノロジーの動向を調査しています。
今回、皆さんに再び新しいレポートをお届けできるのを嬉しく思います。前回は即時配送:自律走行型配送ロボットに関するレポートをお届けしました。
ご存知ですか
NFT時価総額がたった2年で10倍になりました。
NFTとは
NFTは非代替性トークン(non-fungible token)の略であり、ブロックチェーンプラットフォームの技術を用いたデジタル資産です。「非代替性」は唯一無二、つまりは代替不可能という意味であり、データの複製や改ざんができません。故に、データは相互に交換することができず、オークションマーケットにファイル(例:デジタルアートワーク)をアップロードすることでNFTを発行できます。画像ファイル、音楽ファイル、トレーディングカード、デジタルアートワークなど、デジタル化できる物理的な資産はすべてNFTにすることができます。
仕組み
ほとんどのNFTは、イーサリアムのブロックチェーン技術を用いています。イーサリアムは、ビットコイン(BTC)やドージコイン(DOGE)と同じく、暗号通貨です。しかし、イーサリアムのブロックチェーンはその他の情報も付加することでNFTでも使用することができ、ETHコインとは異なる仕組みを採用しています。さらに、他のブロックチェーンも独自のNFTを展開することができます。主なイーサリアムNFTマーケットプレイスとして、OpenSea、Rarible、Mintableなどがあります。
今、まさに何が起きているか
1. 約7000万ドルで落札された史上最高額のNFT
2021年3月、Beeple氏のEverydays: The first 5,000 Daysが6930万USドルで落札されました。
大手オークション会社が提供した最初の完全なるデジタルアートワークです。
引用元
2. 2年で市場規模が約10倍に拡大
- Statistaが収集したデータによると、2018年から2020年にかけてNFTの時価総額が約10倍になりました。
- その上、新しい市場や変動の激しい市場のデータを集めるのは困難であるため、上記は比較的控えめに見積もった数字だと考えられています。
3. 2021年上半期のNFTの売上高が24億ドルを上回る
- DappRadarは、2021年上半期の累計売上高が24.7億ドルに達したと発表しました。
- しかしながら、NonFungible.comは売上高は13億ドルにしか過ぎないと推測しています。
- Cloudwardsによると、2020年上半期の売上高は「たった」2億5000万ドルほどしかなかったとしています。
流行の理由は?この動向は続くのか?
- Gartnerによると、NFTはすでに過剰期待の頂に達したとしています。
- 消費文化において、これは何を意味するのでしょうか?
- 希少性が顧客を惹きつけます。
- NFTの思わぬ人気は、まさに供給が価値判断を形成するという状態を表しています。
- 手に入れるのが難しければ難しいほど、需要が高まります。
- NFTがより主流になるにつれてデジタル商品が一般的なものとなり、物的価値に欠けるといった厳しい意見も出てきています。
今まさに、eコマースがこの機会を捉えようとしている
- 世界中の企業が、NFTがビジネスモデルを成長させ、新たな収益源を生み出す可能性を秘めていることに気づき始めました。
- eコマースは、コミュニティ、収集家、テックラバーからの新たな収益源としてNFTを活用しています。
- 加えて、加盟店、アーティスト、ユーザーがプラットフォームをもっと利用するようなエコシステムを開発しています。
1.韓国のJoonggonara
中古品を取引するためのプラットフォームを提供するJoonggonara、ブロックチェーンサービスプラットフォームのPlayDapp、イノベーションを作り上げることを専門に手掛けるInfoseedの3社で、9月13日から10月17日にかけてイベントを開催しました。イベントは、Joonggonaraのプラットフォーム上で開催されました。イベントの目的は、より多くのユーザーが参加できる形でこれからも新しい商品を発見したり、多様な商品を取引できるようにし、ユーザーの利便性を高めることで新たな中古品マーケットを提供することでした。
2.Shopify
認定を受けた販売者は、Shopifyのプラットフォーム経由でNFTを販売できるようになり、EC加盟店向けに全く新たな世界が開かれました。加盟店がShopifyの店舗から直接NFTを販売できるようにしたことで、NFTを販売したい加盟店向けに新たな機会を提供しました。NFTを販売できる方法を求めていた加盟店からの要望と、クリエーターやアーティストが専門性を発揮できる新たな方法を提供したいという強い願いも後押しとなり、この取り組みが実現しました。
3.JD.com
毎年開催しているテックカンファレンスJD Discoveryに申し込んだ方を対象に無料でNFTを贈ることで、ライバルのアリババやテンセントに続いてNFTのトレンドの波に乗ろうとしています。
- NFTは大手テクノロジー企業が提供しているブロックチェーンであるJD Zhizhen Chain上でミントされています。
- 独自のブロックチェーン技術を開発したり、NFTテクノロジーを著作権保護、公共福祉、美術品の収集、eコマースなど、他の領域にも応用しようとしている中、NFTを無償で提供する施策はNFTの分野で感触を確かめるための第一歩となりました。
4.アリババ &テンセント
今週、アリババとテンセントは中国政府からの締め付けを回避するためにも、NFTの名称を変更しました。これまでも、中国政府は大手テクノロジー企業を厳しく取り締まってきました。
以前、アリババ、テンセントともにNFTの分野に進出しました。アリババのオンラインスーパーTmallは月餅をモチーフとしたNFTのコレクションを完売させました。7月にアリババのオンラインマーケットプレイスTaobaoもNear Protocolと提携して、毎年開催しているショッピングフェスティバルでNFTを販売しました。
8月に中国の大手インターネット企業テンセントは、同社が保有するZhixinチェーンをベースにしたNFTの取引プラットフォームHuanheを立ち上げました。
5.TikTok
TikTokもクリエーターをエンパワメントする新たな方法としてNFT事業へ進出し、初のNFTコレクションTikTok Top Momentsを発表しました。TikTokのNFTは、クリエーターのコンテンツが認められ、報酬を得られる方法を提供し、またファンにはTikTok上で文化的に重要な瞬間を所有する機会を提供しています。
6.Chingari
ショートビデオプラットフォームを提供するChingariは、暗号通貨トークン$GARIと自社NFTマーケットプレイスを立ち上げました。$GARIにより、Chingariアプリ上のコンテンツクリエーターは、自分のeコマーススペース(実店舗も含む)を設定したり、NFTを制作したりすることができ、またユーザーはお気に入りのアーティストに資金を出し、応援することもできます。
7.Nike
Nikeが取得した特許のCryptoKickでは、2足のバーチャルシューズを組み合わせて新しい一足を作ることができます。登録販売者からの購入後に購入者が受け取るNFTでは、ブロックチェーンを使用して本物であることと所有権を確認できます。その後、再び靴が売りに出されたり取引されたりする場合は、デジタルトークンもそれに連動します。
マーケットプレイスでの使用方法
デジタル所有権として
-
Twitter創業者のJack Dorseyが初めてTwitterに投稿したツイートがNFTとして$250万ドルで落札される
- Centが運営するオークションサイト「Valuables」にて、記念すべき投稿として知られるツイートが出品される
- ウェブサイトは、ツイートをNFTとして販売するマーケットプレイス
- 15年前のツイートはプラットフォームで最も有名であり、特に収集家が高い落札価格をつける可能性がある
-
Rob GronkowskiがSuper BowlのNFTを販売
- 活躍の瞬間を捉えた300以上のNFTを販売
- Gronkowskiのサイン入りオリジナルカード
- ファンは、デジタルの世界でRobのプレーを手に入れることができる
-
ゲームクリプトアーティストがNFTで利益を得る一方、論争を呼ぶ
- 人気ビデオゲームのゴッド・オブ・ウォーのアートディレクターが、Elon Muskなどの有名人の3Dモデルを数万ドルで販売
- Halo Infiniteのアートディレクターは、城の絵を35,000ドル近くで販売
- Mauroのアートコレクションをコレクタブルカードとして販売し、200万ドル以上を獲得
物理的なプロダクトとして
- Look Labsがデジタル香水のCyber Eau de Parfumを発売
背景
- 世界初となるデジタル香水のCyber Eau de Parfum
- 限定版のNFTに香りがエンコードされている
ポイント
- ユニークなデジタルブロックチェーン資産であり、非代替性の暗号通貨
- 「目新しさにかける現在の」香水市場におけるイノベーションの可能性
その他
単なるコスメに留まらない:NFTテクノロジーは、高級コスメにおける「実用性」も可能にする
- NFTでスニーカーの真贋証明を行うINFINITEアプリ
背景
- ブロックチェーンのスタートアップ企業Sukuのアプリでは、NFT技術を使用してスニーカーの真贋証明を行う
- マーケットプレイススタイルのプラットフォームをローンチし、スニーカーの枠に留まらないNFTを販売
ポイント
- コレクタブルカテゴリーにデジタル要素を組み込む
- 新規性:ブロックチェーン上でスニーカー1足ずつが唯一無二のものであり、デジタルで識別できるマーケットプレイス
その他
- NFTはデジタルのみのプロダクトであると考えられることが多いものの、INFINITEはこのテクノロジーとスニーカを結び付けることで、各スニーカーに一意の物理的タグを与えている
- それぞれの靴の真贋ステータス、現在の所有者、過去の所有権の履歴に関するデータを含むタグを生成
その他の業界への拡張
その他のカテゴリーでも、さまざまな業界でNFTが話題を呼んでいます。
ゲームのレベルアップ
従来のゲームに革新をもたらし、業界では年間1140億ドルの売上を生み出しています。ブロックチェーンのゲーム内でNFTを用いることで所有権が有効になります。プレーヤーは、初めて真の所有権を取得し、ゲーム内資産を完全にコントロールできます。
DappRadarの8月の業界レポートによると、ゲーム関連の分散型アプリに接続しているユニーク・アクティブ・ウォレット数は、7月から64%増加し747,000を記録しました。DefiやNFTなどのコレクタブルのカテゴリーとゲームの利用指標を比べてみると、ブロックチェーンの分散型アプリに接続しているユニーク・ウォレット数の急増の要因はゲームにあることが明らかにわかります。
スポーツとNFTの親和性
Verified Market Researchによると、世界のトレーディングカード業界規模は2019年に138億2000万ドルになりました。2019年7月、NBAはCryptoKittiesの仕掛け人であるブロックチェーン企業のDapper Labsと共に合弁事業を立ち上げました。これにより、FLOWブロックチェーン上のNFTプロジェクトであるNBA Top Shotがスタートしました。2021年2月から3月にかけて、Top Shotは256万件のトランザクションで4億3,236万ドル以上の売上を獲得しました。
バスケットボールに公式NFTプラットフォームがあるとすれば、サッカーにはSorareがあります。ファンタジーサッカーのプラットフォームであるSorareでは、NFTのプレーヤーカードをベースにしたファンタジーチームの取引や管理ができます。従来のファンタジープラットフォームとは異なり、このゲームではファンタジーマネージャーがプレーヤーを完全にコントロールできます。カードの供給には限りがあるため、ゲームにさらなる戦略的要素が生まれます。
Lionel MessiによるNFT (引用元)
NFTのトレンドに乗るファッションブランド
8月、BurberryとBlankos Block Partyがパートナーシップを組み、キャラクターやアクセサリーを含むコラボNFTをデザインしました。2,250のNFTは1分以内に売り切れとなりました。
引用元
大手ファッションブランドのGucciは6月、2021年の秋冬コレクションにインスパイヤされたショートフィルムをブランド初の公式NFTとしてを20,000ドルでオークションに出品しました。直近では、Dolce & Gabbanaがこの動きに追従し、高級品や文化的なアイテムを専門に取り扱うマーケットプレイスのUNDXとのコラボで9つのNFTコレクションを作成しました。
最後に、eコマースもNFTを取り入れるべきでしょうか?
eコマースと暗号資産は、いずれも変化の早い業界です。eコマースが先手を打つには、NFTをサービスの付加価値として提供するポテンシャルを模索してもよいかもしれません。
NFTのトレンドを背景に、人々は物理的な資産をバーチャルプロダクトとしてトークン化し始めており、これによって収益を生み出す多くの可能性の扉が開かれています。従来の商品購入にみられるような待ち時間や配送距離といったあらゆる欠点が取り除かれます。
NFTは、ブランドや小売にとっての機会となっており、物理的なモノの証明やeコマースの難点の低減、そしてバーチャルで売上を獲得することにより新たな収益が生まれます。
Advanced Tech Team
私たちは、「先進的なテクノロジーで継続的なイノベーションを導く」ミッションのもとで活動しています。 共に、大きなインパクトを生み出していきましょう。
👉 募集ポジション