はじめに
こんにちは。 @Sakamoto です。
この記事は、Merpay & Mercoin Advent Calendar 2025 の4日目の記事です。
2025年9月からメルコインでフロントエンドのインターンを始め、12月初めでちょうど3か月になりました。期間中はメルコインに加え、メルカリNFTの開発にも参加しました。
本記事では、インターン期間中に取り組んだタスクを振り返り、そこで得た学びや気づきをまとめます。
チームについて
今回のインターンではメルコインとメルカリNFTでフロントエンドエンジニアとして参加しました。それぞれ扱うプロダクトの特性が大きく異なるため、求められる視点や進め方にも違いがありました。
メルコイン
暗号資産交換業としてガバナンスやリーガルと関わりが深く、単に機能を実装するだけでなく、背景となる法律や制約を理解したうえで開発を進める必要があります。
メルコインのフロントエンドチームはお客さま対応のための社内ツールのフロントエンド開発、LP(ランディングページ) の作成などを担当しています。
メルカリNFT
NFTの売買を可能にするプロダクトを持つチームで、2025年1月に提供を開始し、現在も毎週のように新機能が追加されています。
そのため、よりスピード感のある開発が求められる環境でした。
メルカリNFTのフロントエンドチームは主にメルカリNFTのフロントエンド開発を担当しています。
取り組み概要
メルコイン
- 社内ツールのフロントエンド改修
メルカリNFT
- 買取機能の実装・改善
- メルカリNFTのくじをメルカリアプリ内から購入できるようにするための対応
- リリース後のメモリ監視
その他
- Web3領域のドメイン知識の習得
- 社内の多職種の方とのコミュニケーション
- エンジニア業務でのAI活用
ここでは太字の6つについてまとめようと思います。
社内ツールのフロントエンドの改修
背景
メルコインで進行しているプロジェクトの一部として、口座の状況、暗号通貨の配信価格など、お客さまからのお問い合わせに必要な情報を確認できる社内ツールの改修を担当し、フロントエンドの仕様整理から実装、QAチームとのテストケースの調整まで、一連の開発プロセスに関わりました。
やったこと
社内ツールの改修にあたって、
- 表記揺れがないか
- バリデーションに過不足はないか
- エラーハンドリングが適切か
- UIの整合性があるか
- API連携が正しいか
- 変更に柔軟に対応できる設計か
といったポイントを確認し、後工程での手戻りが起きにくい状態まで仕様書のレビューを行いました。
その上で自分の実装スピードや改修範囲を考慮し、適切なバッファを含めて工数見積もりを行いました。
実装では、各マイクロサービス間の通信にはgRPCが使われているため、Protocol Buffersの定義からモックを作り、UIとの接続を進めると同時にCypressでのE2Eテストも作成・改修に取り組むことができました。
またQAチームとはテストケースや指摘内容を確認しながら、仕様と実装の齟齬をなくすことに努めました。
学び
gRPCやProtocol Buffers、Cypressといったこれまで触れる機会の少なかった技術に取り組んだことで、フロントエンド以外の領域にも一部理解が広がりました。
あわせて、仕様書の精度をどう高めるか、どの程度のバッファを見込んで工数を組み立てるか、レビューされやすいコードにするにはどんな書き方がよいかなど、プロダクト開発全体を俯瞰する視点も身についたと感じています。
買取機能の実装・改善
背景
メルカリNFT内のGMV(流通取引総額)を伸ばすための施策として、NFTくじを購入したお客さまが買取依頼を出せる機能の追加をしました。
それに伴い、商品詳細ページに新しいUIや状態管理が必要となり、この部分の改修を担当しました。
また、このタスクがメルカリNFTのコードを触る最初の機能開発だったため、既存コードや周辺仕様のキャッチアップを素早く進める必要もありました。

やったこと
仕様書を確認し、商品詳細ページのどのタイミングで買取ボタンを表示するか、どの状態をどう見せるかといったUIの出し分けを整理しました。
その上で、実装した内容の品質を担保するためにVRT(Visual Regression Test)を活用し、Playwrightを用いたインテグレーションテストも追加・修正しました。
学び
Playwrightを使ったインテグレーションテストやVRTの活用など、これまで触れる機会のなかったテスト手法を実際に使いながら理解を深められました。
また、買取前後でUIが複雑に変化する仕様だったこともあり、コンポーネントの責務をどう分けるか、保守性と可読性をどこまで両立できるか、といった設計面の学びも多かったです。
スピードが求められる環境の中でも、既存実装の調査や理解を並行して進めることの重要性を実感しました。
リリース後のメモリ監視
背景
メルカリNFTでは、サービスを安定して提供し続けるために、リリース後のリソース状況の監視や挙動の確認を継続的に行っています。
特にメモリ使用量は、トラフィックの増減や特定機能の利用状況によって変動しやすいため、定期的に観測し、必要に応じて挙動を調査する運用を行っています。
今回の取り組みでは、本番環境のメモリ使用状況をより細かく把握し、どのタイミングでどう増減しているのかを整理しながら、今後の安定した運用につなげるための調査を進めています。

やったこと
まずは「いつ・どんな状況でメモリが増えるのか」を把握するために、各Podのメトリクスを確認し、傾向を調査しました。
その上で、なぜそのような増加が起こるのか仮説を立て、順に検証を進めました。
Datadogからログやメトリクスを細かく確認しつつ、他チームにも相談し、Node.jsやNext.jsの内部挙動、キャッシュやSSR周りの可能性など、さまざまな観点から情報を集めることで検証の方向性を調整しています。
学び
日々の調査の中で得られる学びは非常に多いと感じています。
Node.jsやNext.jsが内部でどのようにメモリを使うのか、CPU・GCの仕組み、キャッシュの扱いなど、技術的な理解が大きく深まりました。
同時に、進行中の問題を扱う際のコミュニケーションの取り方や調査内容のまとめ方、仮説の立て方と検証の進め方、進捗が見えにくいタスクをどうやって周囲と共有するかなど、機能開発とは異なるスキルも求められることを実感しています。
Web3領域のドメイン知識の習得
メルコインとメルカリNFTの両方に関わる中で、Web3に関する基礎知識を継続的に身につけることを意識してきました。
暗号資産やNFTの基本概念をはじめ、法規制やコンプライアンス、チェーンの仕組み、トランザクションの流れ、ウォレットの挙動など、業務に必要な知識は社内ドキュメントとして多く整理されています。
日々の開発と並行して、それらの資料を自分から探して読み、背景となるドメイン理解を深めるようにしてきました。
Web3は学ぶ範囲も広く、継続して取り組みたい領域です。
社内の多職種の方とのコミュニケーション
もう一つ意識的に取り組んでいたのが、社内の多職種の方とのコミュニケーションです。
プロダクト開発では、さまざまな職種と連携しながら仕様の確定やリリースに向けた調整を進める必要があります。
そのため、日々のやり取りだけでなく、会社の施策として実施されているチービルやメンターランチの機会を活用しつつ、自分からも声をかけて1on1やランチの機会をつくるようにしていました。
チーム全体が話しかけやすい雰囲気を持っていたこともあり、積極的にコミュニケーションを取ることができました。
また、普段どのように技術をキャッチアップしているのか、どんな観点で仕様を見ているのか、なぜ今のキャリアを選んだのかといった話を聞くことで、自分の知らなかった考え方や知識に触れる機会も多くありました。
開発スキルだけでは得られない学びが多く、視野を広げるきっかけになったと感じています。
エンジニア業務でのAI活用
CursorなどのAIツールも積極的に活用し、コード全体の構造を素早く把握したり、関連部分の洗い出しを効率よく進めるようにしていました。
開発・実装では、メンターの方からのアドバイスも参考にしながら、どの情報を渡すと意図が正確に伝わるかといった点を意識するようにしました。
仕様を明確にまとめてコンテキストとしてAIに渡すことで、実装の方向性がぶれにくくなり、提案されるコードの品質も安定するようになりました。
また、AIから返ってくるコードはそのまま使うのではなく、自分の考えとの違いを確認したり、なぜその書き方になるのかを読み解くことで理解を深めるきっかけにもなりました。
結果として、実装を効率化するだけでなく、コードの設計方針を比較しながら学べる良い教材のような存在にもなっていたと思います。
まとめ
3か月を通して、メルコインとメルカリNFTのそれぞれ異なる特徴を持つプロダクトの開発に携わり、多くの学びを得ることができました。
機能実装だけでなく、仕様の詰め方、テストの考え方、多職種とのコミュニケーションなど、エンジニアとして必要なスキルを幅広く経験できた期間だったと感じています。
残りの1か月も、これまでの学びを活かしながら、より深い理解と確かなアウトプットを積み重ねていきたいと思います。
明日の記事は @Fabさんです。引き続きお楽しみください。




