【mercari GEARS 2025】ポスターセッションをご紹介

こんにちは!メルカリ Engineering Office の@mikichinです。
来る11月13日、メルカリグループのテックカンファレンス「mercari GEARS 2025」が開催されます!

2018年に実施した「Mercari Tech Conf 2018」から7年の時を経て、久しぶりのオフラインでの開催となります。
テーマは「メルカリエンジニアリングの今」。
今年の全社的なテーマでもある「AI-Native」についてはもちろん、2018年以降メルカリグループのエンジニアリングがどのように変化してきたかを、技術・組織・カルチャーの観点からご紹介します。
オンライン配信はありませんので、ぜひ会場でご自身の目と耳で確かめてください!!

また、今回はプレゼンテーションだけではなくポスターセッションもあります。
ポスターセッションでは、発表者の方が掲示されているポスターの前に立っているので、質問をしたり、情報交換をしたりできます。ぜひ、お気軽にお立ち寄りください。
※常に、発表者がポスター前に立っているわけではありません。いない時間帯もありますこと、ご了承ください。

本記事では、会場でしか見れないポスターセッションを一挙ご紹介!

プレゼンテーションの紹介は下記記事をご参照ください。
PASSION Stageのセッション紹介はこちら
GROW Stageのセッション紹介はこちら
MECHANISM Stageのセッション紹介はこちら

まだ申し込みをされていない方も、興味のあるセッションがあるはずです。お申し込みはこちらからお願いします。

メルカリグループにおけるAI-Nativeなインシデント管理の全貌と未来像

LLMの普及により、インシデント対応・管理のあり方も大きく変わりつつあります。
メルカリグループでは、複雑で負担の大きいインシデント管理を「AI-Native」に進化させることを決定しました。

すでに導入している「IBIS」をはじめ、その周辺の仕組みや他のAI活用事例も紹介します。
AIを取り入れることで、MTTRの短縮だけでなく、対応者の負担・ストレス軽減やコスト削減、さらにサービス信頼性の向上が期待できます。

ただし、人間が担うべき領域も残ります。本発表では、メルカリグループの現在の取り組みと今後の展望をお伝えします。

The 3A’s: Simple Steps For Clean Unit Tests

ソフトウェア開発のスピードが加速する中、新機能の追加や修正には、既存の機能を意図せず壊してしまうリスクが常に伴います。適切な安全策がなければ小さなミスが本番環境にリリースされ、多くのお客さまに影響を及ぼす可能性があります。 だからこそ、ユニットテストは極めて重要です。優れたユニットテストはコードの動作を検証するだけでなく、プロダクトの安定性と信頼性を確保し、開発チームが自信を持って変更を行える環境を支えます。 では、どうすればテストをシンプルでクリーン、かつ効果的に保つことができるのでしょうか。 そのための実績あるアプローチのひとつが、Arrange(準備)、Act(実行)、Assert(検証)の3Aフレームワークです。この3つのステップに従うことで、明確で保守性が高く、信頼できるユニットテストを簡単に書けるようになります。

Autonomous Support – Leveraging AI Bots for Scalable and Intelligent Operational Assistance

現在、エンジニアはSlack上での場当たり的かつ反復的な質問対応や、絵文字によるトリアージといった非効率なワークフローに多くの時間を費やしており、チームによっては業務時間の10〜20%以上が問い合わせ対応に割かれるという課題があります。私たちはこの課題に対し、Slack上の雑多な問い合わせを迅速で信頼性の高い回答と標準化されたチケットに変換する、AI支援の自律型サポートシステムを構築しています。このbotはSlack上で直接対応を行い、適切なJIRA/GitHubチケットのトリアージや共有ナレッジベース(ドキュメント、過去のチケット、Slack、ソースコード)の検索を行い、回答を提案します。人間の対応が必要な場合は担当者へ引き継ぎ、自己完結可能な場合はその場で対応を完了し、そこから学習を重ねます。これにより、応答と解決の迅速化、中断の削減、そして自律解決率、エスカレーション率、削減できたエンジニア工数、CSAT(顧客満足度)、特定されたナレッジギャップといった指標を通じて効果を測定します。また、既存のプラットフォームツールを再利用することで、迅速な開発を可能にしています。

Toward a Global Identity Platform

メルカリは2019年に越境EC事業をスタートしました。開始当時、海外のお客さまは機能の限られた代行業者の購入ページを使って商品を検索し、購入する必要がありました。その後、海外のお客さまにより良い購買体験を提供するため、メルカリはシステムを拡張し、海外でのサービス展開を始めました。この拡大において重要な要件がグローバルアカウントの導入です。本セッションでは、これまでの取り組みで達成した成果を共有するとともに、複数の国のお客さまをサポートするためにアイデンティティ基盤をさらに拡張していく今後の計画についてお話しします。

非エンジニア組織のAI-Native化に伴走した実践知

非エンジニア組織が「AI-Native」へと変革する過程には、エンジニアの伴走が不可欠です。
本セッションでは、そのリアルな経験を紹介します。

(1) AI活用で期待する結果を得るために入出力形式を工夫した事例
(2) AIワークフローが突然停止した事例から学ぶライフサイクル管理の教訓
(3) AI生成アプリをGASを使って安全にデプロイする手法

といった、AI活用をプロトタイプから実運用への導くための実践知を共有します。

From Cluttered to Clear: Improving the Web Accessibility Design for Screen Reader Users in E-commerce With Generative AI

視覚障がい者や弱視のユーザーは、スクリーンリーダーを使ってオンラインショッピングサイトを利用する際に、多くの障壁に直面しています。複雑なレイアウト、不明確なコンテンツ構造、視覚重視のデザインにより、特に初めて利用するサイトではストレスが多く非効率な体験となっています。これまでの支援ツールは商品説明や画像の代替テキストなど、個別の要素に焦点を当てられてきましたが、ページ全体におよぶ構造やナビゲーションの課題には十分対応できていませんでした。本研究では、生成AIを活用してショッピングサイトのHTMLコンテンツを自動的に再構成し、アクセシビリティを改善する方法を検討しました。研究は3段階の構成で行い、まずスクリーンリーダーのユーザーにインタビューを行い、次に生成AIを搭載したブラウザ拡張機能を開発し、最後に自動監査と実際の使用で評価を行いました。このツールはスクリーンリーダーの操作パターンに合わせてウェブコンテンツを動的に整えます。実験の結果、生成AIで再構成されたページではナビゲーション効率、コンテンツの分かりやすさ、全体的な使いやすさが大きく改善することが分かりました。参加者からは「セクションの順序がより論理的になった」「閲覧による疲労が減った」といった声が寄せられました。この成果は生成AIが既存サイトの構造そのものに作用することで、包括的かつユーザー中心のアクセシビリティ改善を実現できる可能性を示しています。

量子インターネット ー安心・安全でサステナブルなオンライン社会の実現に向けてー

メルカリの研究開発組織「R4D」では、近い将来に到来が予想されている「量子前提時代」を生き抜くメルカリを作るために、量子情報通信技術に関する研究を行っています。本ポスターでは、R4Dの量子チームが国内の研究機関と共同で行なっている量子インターネットに関する研究開発の全体像について紹介します。

中性原子量子コンピュータにおける表面符号を用いた消失エラー耐性プロトコル

光ピンセットによる中性原子アレイは、その優れた特性から量子コンピュータの有望な候補とされていますが、非パウリ誤り、消失誤り、リーケージ誤りが大きな課題となっています。従来の研究では、リーケージ誤りを消失誤りに変換できることは示されていましたが、変換された消失誤りが継続的に発生・蓄積する問題が残っていました。本研究では、この課題に対して、脱分極誤りと消失誤りを含む回路ベースのモンテカルロシミュレーションにより、消失誤りが平面コードに与える影響を評価しました。さらに、消失誤りへの耐性を高めるための新しいプロトコルを提案します。このプロトコルでは、オンラインでのコード変形を利用して、消失誤りが蓄積した「トラップ」から論理量子ビットを新しいトラップへと転送します。

「使い続ける力、未来をつなぐ」

人が使わなくなった製品を一度で使い終えず、次の誰かへ繋ぐ「リユース」は、私たち消費者が持続可能な社会のために選べる、最も身近で実践しやすい選択肢の一つです。本プレゼンテーションでは、リユースによって製品の使用期間がどれほど延長され、新品の購入をどれだけ代替できるのか、そのインパクトを明らかにします。

このお話を通して、皆様がモノを手放すとき、あるいは新しいモノが欲しくなったときに、リユースを当たり前の選択肢として生活に取り入れ、「モノに隠された新たな価値」を実践していただくためのきっかけをご提供します。

オンラインフリマアプリにおける商品説明の人間–AI協働執筆:売り手および買い手の視点からの考察

オンラインのフリマアプリは、個人が中古品を他の個人に販売する手段として、特に日本で人気を博しています。出品のプロセスには、出品者が写真をアップロードし、潜在的な購入者が閲覧するための商品説明を書く作業が含まれます。近年は、大規模言語モデル(LLM)を用いた商品説明作成を通じて出品時の出品者の負担を軽減する、人間とAIの協働の応用領域が注目されています。本研究では、LLMに基づく支援が出品者の体験や商品の出品価格に与える影響に加え、人間とAIが協働して作成した商品説明の魅力に対する買い手の主観的な印象や選好にどのように影響するかを検討します。本研究の結果は、LLMベースのツールがオンライン中古市場に及ぼし得る影響の理解に寄与するとともに、フリマアプリ向けの人間—AI協働執筆システムの設計上の考慮点や今後の研究の方向性に関する示唆を提供します。

メルカリAdsにおけるAIを活用した広告審査の取り組み

2024年9月に開始したメルカリAdsは、当初広告主から入稿いただいている広告に対しての審査を手動運用にて審査していました。
効率的な審査を模索し、AIを活用した広告審査システムを構築することで運用コストを削減しつつ、多くの広告素材に対して審査することが可能となりました。
そのAI活用事例を共有します。

BFF保守の課題とgRPC Federationによる解決アプローチ

マイクロサービスアーキテクチャにおけるBFF開発では、複数サービス間の型変換や依存関係管理により保守コストが増大します。本発表では、この課題に対してgRPC Federationを採用し、Protocol BuffersにDSLで定義することによってBFFを自動生成し、保守コストを大幅に削減した実例を紹介します。また、AIを活用したDSL記述支援の取り組みについても報告します。

Engineering Office is a Hub, connecting Engineering together

Engineering Officeはエンジニアリング部門のあらゆる部分を繋ぐハブの役割を持ちます。共通のオンボーディングからプロジェクトのサポート、エンジニアリングに関する情報まで、さまざまな要素を通してグループが方向性を合わせ、集中できるようにします。

本発表では、自動化やAI、継続的なサービスライフサイクルを活用してビジネスニーズに迅速に対応し、メルカリ独自のエンジニアリング文化を維持するための、私たちのプロジェクトの一部をご紹介します。

Mercari における Recommendation System の概要

メルカリではホームスクリーンや商品詳細画面など様々な所で recommendation が行われており、その裏側にはそれぞれの特性に応じた技術が使われています。

本発表ではメルカリにおける様々な recommendation とその裏で使われている技術について概要を共有し、議論を通じて情報交換したいと考えています。

「mercari GEARS 2025」のお申し込みはこちらから
イベント詳細
開催日時:
2025年11月13日(木) 11:00-18:00

概要:
mercari GEARS 2025は、メルカリグループのエンジニアリング組織の技術への挑戦と、カルチャーを体感する技術イベントです。
本イベントは、単なる情報伝達の場ではなく、エンジニアたちが出会い、経験を共有し、交流を通じて新たな機会が生み出されることを目的としています。

参加費:無料
会場:TODA HALL & CONFERENCE TOKYO
参加方法:こちらのページにてお申し込みください。
公式サイト

本イベントに関する追加情報があれば、随時 @MercariGears でお知らせしますので、気になる方はぜひフォローをお願いします。

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