こんにちは。SREチームの @foostan です。
弊社は2025年7月11~12日に開催されたSRE NEXT 2025に、PLATINUMスポンサーとして協賛し、ブース出展およびセッション発表を行いました。本記事では当日の様子とアンケートの収集結果をご紹介します。
ブース出展
弊社としては久しぶりのブース出展であり、私個人としては初めての経験となりました。2日に渡り200人以上の来訪者にお越しいただき、SREに関するお話をたくさんさせていただきました。ありがとうございました。このように共通の話題で盛り上がれる機会は非常に貴重であり良い経験となりました。なお我々のブースでは自由記述形式で以下の2種類のアンケートを行いました。
- SREをやっていて良かった瞬間は?
- SREに関する業務でAIに任せたいことは何ですか?
詳細は後述しますが、昨今のAI利活用の盛り上がりはSREの領域でも大きな影響を受けており、当日はAIに関する話題が尽きることはありませんでした。
来訪者やアンケートに答えていただいた方向けにノベルティの配布も行っていました。特にロゴ入りのキーキャップは今回のイベント向けに用意したものでしたが高評をいただけて何よりでした。今後のイベントでも機会があれば配布しようと思いますのでその際は受け取っていただけると幸いです。
セッション発表
弊社の yakenji より、「複雑なシステムにおけるUser Journey SLOの導入」を発表させていただきました。我々がどのような経緯でUser Journey SLOを導入し、これをどのように運用しているのか、また今後の展望について共有しております。
なお本発表の内容は2024年末のブログ https://engineering.mercari.com/blog/entry/20241204-keeping-user-journey-slos-up-to-date-with-e2e-testing-in-a-microservices-architecture/ にも記載がありますので、よろしければこちらもご覧になっていただけると幸いです。
アンカンファレンスへの参加
当日のコンテンツはどれも興味深くさまざまな方の発表を聞いたり、各ブースを巡ってお話を伺うことでSREチームとして今後どうしていくか考えたり、またどのような技術の進歩があるのか考えたりと非常に楽しかったです。特に1日目の最後に行われたアンカンファレンスでは、具体的なテーマごとにグループに分かれてディスカッションを行うことで、各社のこれまでの経験や思いを知る良い機会となりました。
私は「SREとその組織類型」のグループに参加させていただきました。普段はエンジニアリングマネージャーとしてチームや組織編成について考える機会もあるため、SREが組織にどう組み込まれるべきか、過去の事例や現在抱えている問題など、自分の視点からでは見れなかった意見を知ることができました。組織の規模やフェーズ、置かれている状況に応じてSREの組織もそれぞれにあるべき姿が存在することを改めて認識しました。
アンケート結果
我々のブースで行ったアンケート結果をまとめましたのでご参照いただければ幸いです。各結果を同じような内容のグループに分類しそれぞれの割合を出しています。なお記載している内容は公開用に文章を変更しておりますのでご了承ください。
SREをやっていて良かった瞬間は?
合計で53件の意見をいただきました。
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トラブルシューティング: 24.6%
大規模アクセスとなるイベントを無事乗り切った時や障害を迅速に解消できた時の達成感が最も多く挙げられました。難しい障害やボトルネックの特定・解消、原因不明のバグ修正などの技術的な課題を解決した時の喜びも大きいようです。また、インシデント対応フローの改善や開発チームの意識向上など、組織全体の成長を実感できる瞬間も良かった点として挙げられています。 -
自動化/トイル削減: 21.1%
インフラや運用の自動化によって手動作業が不要になったり、高速にデプロイできるようになったことに達成感を感じたという声が多く見られました。コードによるインフラ管理やオートスケーリングの導入、リリースフローの改善などを通じて、生産性向上や自律的なシステム構築を実現できた点が良かったこととして挙げられています。 -
開発体験向上: 14.0%
開発者から「楽になった」といった声があった時や、生産性の向上を実感できた時にやりがいを感じたという意見が多く寄せられました。開発チーム全体のキャパシティを高める取り組みや、継続的に楽しく働ける環境づくりができていることも、良かった点として挙げられています。 -
ビジネス貢献: 12.3%
コスト削減やリソースの最適化によって、事業への具体的な貢献を実感できたという声が挙げられました。また、ビジネスへの関心・意識の高まりなど、技術面だけでなく事業視点での行動や成果を評価する動きが広がっていることも印象的です。 -
データ活用: 10.5%
トレースやメトリクスの導入により、システムの状態を可視化・定量化できるようになったことが大きな成果として挙げられました。オブザーバビリティの強化やSLI/SLOの導入などを通じて、計測や統計的な判断を行う文化が広がり、データに基づいた改善や意思決定が可能となってきているようです。
SREに関する業務でAIに任せたいことは何ですか?
合計で100件の意見をいただきました。
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インシデントレスポンス: 22.2%
インシデントの一次対応やエラー調査の自動化をAIに任せたいという声が多く見られました。またログの収集・要約や過去のポストモーテムとの類似ケースの検索、初動対応の判断支援、インシデントレポートの下書き作成といった業務など、人手による作業の負荷の軽減に期待が寄せられています。 -
分析/予測: 16.0%
障害やエラーの原因調査、影響範囲の把握、再発防止策の提案といった分析・改善フェーズにおいてAIの支援が期待されているようです。また、アップデートや構成変更に伴う影響調査、さらには事業計画やBillingデータからの将来予測といった業務にもAIを活用したいというニーズが見られました。 -
アップデート: 11.1%
システムやコードの保守や改善に関してAIの活用を望む声が多く挙げられました。特にEOL対応や、アップデート作業の自動化・効率化に対する期待が高まっています。 -
ドキュメンテーション: 10.5%
ポストモーテムや障害レポートなど、定型的かつ情報整理を要するタスクに対してAIの支援を求める声が挙げられました。また、社内向けの説明資料やダッシュボードの自動生成、ドキュメントの検索や要約といった情報の可視化・再利用性の向上に関してもAIへの期待が寄せられています。 -
モニタリング/アラート: 9.9%
アラートのトリアージや原因調査、優先度の判断、リリース後の自動モニタリングや外部サービスの障害速報の把握など、AIによるリアルタイム性と網羅性が期待されています。判断や対応をより迅速かつ確実にし、システムの安定性を高めるための基盤が整えられることが望まれているようです。
おわりに
改めて来場してくださった皆様、また弊社のブースに立ち寄っていただいた皆様に感謝を申し上げます。また本イベントを開催し、運営していただいた皆様も本当にありがとうございました。弊社としても今後の発展に貢献していきますのでまた来年もよろしくお願いいたします。
おまけ: ノベルティーキーキャップの発注方法
今回作成したノベルティーキーキャップについてはクオリティの高いものを製作していただきました。需要は不明ですが、ノベルティーキーキャップの発注については直近ではあまり情報がないようでしたのでこちらにまとめておきます。
今回発注したのはYUZU Keycapsさん( https://yuzukeycaps.com/ )です。こちらでは昇華印刷と呼ばれる方法を利用しており、熱と圧力によって浸透させて色をつけるため耐久性が高く剥がれることもありません。この方法は境界が滲んてしまうことがあるのですがとてもきれいな仕上がりでした。
発注は以下の画面から行えます。
まずはレイアウトを選びます。ノベルティーキーキャップ用のレイアウトは用意されていないので、適当なものを選びカスタマイズしていきます。1Uサイズのものが一般的なのでOrtholinearのものを選ぶとあとの作業が多少楽になります。
「Options」 からレイアウトをカスタマイズできます。今回はすべて同じキーにしたいので 「Add/remove keys」 を選択して詳細の編集画面に移ります。
ここではすべてのキーを自由に選択することができます。各行 R1 ~ R4 も自由に選べます。ノベルティーキーキャップはEscとしてつけることを想定するためかR1であることが多いです。なお今回配布したメルカリのノベルティーキーキャップはMにつけることを想定してR4にしました。
説明用に作成したR1 10×5のものをこちらに置いておきます。
https://yuzukeycaps.com/keyboards/121dfa73-a55e-492c-870a-2b94e490d040
次にキーキャップのテンプレートを作成していきます。ひとつひとつ設定することもできますが、テンプレートを作成しておくと後の作業が楽になります。
後でロゴを配置できるように ICON タイプでテンプレートを作成します。なお、デフォルトのアイコンとしてアップロードした画像を選択することはできないようです。なのでここでは適当なものを選択しておきます。
次にキーを選択して、詳細の編集画面を開きます。「Select icon」を選択するとアイコンを選択する画面になるのでセレクトフォームの右側のアップデートボタンから利用するロゴファイルを選択します。画像の作成方法については下記に説明があります。基本的には2色のみしか使えないので注意が必要です(選べるカラーは豊富にありますが自分で自由に色を作ることもできません)。
https://fkcaps.notion.site/Custom-image-upload-e5e214dc80c047ada20d97d3418eb2de
なおこの画面からロゴの位置やサイズの微調整はできますが、同じ作業をすべてのキーに対してすることになるので、ここでは何もせずに済むようにテンプレートを調整することをおすすめします。
あとはひたすらこの繰り返しです。アップロードしたデータはMy Iconsから選択できるようになっているので2回目以降は多少は楽です。なお私が発注したときはjsonファイルで入出力することができたので、jsonファイルを編集してこの繰り返し作業をもっと楽にすることはできましたが、この記事の執筆段階ではそれができなくなっていました。
データが完成したら「ADD TO CART」に進み発注して完了です。データチェック後に製造され、手元に届くのには2~3週間ほどかかりますので余裕を持って発注することをおすすめします。
以上です。ノベルティーキーキャップ作成の参考になれば幸いです。