爆速で「あたらしい出会いを繋ぐ」を創った、メルカリ ハロのエンジニアリング

こんにちは。メルカリのVPoE Workの @godriccao です。『連載:Mercari Hallo, world! -メルカリ ハロ 開発の裏側-』の1回目を担当させていただきます。スピードがクリティカルであるメルカリ ハロの展開を支えるエンジニアリングを紹介いたします。

実現したい世界は「あたらしい出会いを繋ぎ、信頼と機会をひろげる」

メルカリのミッションは「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」です。フリマアプリ「メルカリ」でのモノの循環に始まり、これまで「お金」「信用」「暗号資産」を循環させてきました。

今年3月には空き時間おしごとサービス「メルカリ ハロ」を一都三県で提供を開始し、わずか1ヶ月で登録者数250万人に到達、4月16日より全国展開しました。いつもお使いのメルカリに「はたらく」タブが追加されると共に、「働く」機能に特化した専用アプリもリリースし、「時間・スキル」を循環の輪に追加しました。

メルカリ ハロのミッションは「あたらしい出会いを繋ぎ、信頼と機会をひろげる」です。スポットワークの新しい働き方で、「人、場所、おしごと」と新しい出会いを作り、社会課題を解決しながら、新しい価値の循環を広げたいと考えています。

とにかくスピードが重要

スポットワーク市場はネットワーク効果が働いています。おしごとを探す側とおしごとを提供する側、数が多ければ多いほど需給のマッチング効率が上がり、おしごと成立のチャンスが増えます。

またスポットワーク市場は発展途上で、すでに一定のプレイヤーが存在しています。この市場では、ネットワーク効果の強さによって、初めて成長できるプレイヤーが勝つことができます。だからこそ、スピードが最も重要です。

新しいサービスを展開するとき、完璧に作ることよりも、お客さまの声を聞きながら高速にイテレーションするほうが大切です。

爆速開発スピードと品質を両立したメルカリ ハロのエンジニアリング

メルカリ ハロのサービス開発に着手したのは2023年の4月からです。2023年10月までは極少人数でサービスの基礎をしっかり作り、10月からチームの人数を一気に増やしました。その後、「メルカリ ハロ」アプリ、事業者管理画面、カスタマサポートツールの機能を開発させると同時に、フリマアプリ「メルカリ」の6つ目のタブである「はたらくタブ」も開発を鋭意に進めました。2024年3月6日には、上記のすべてのコンポーネントがメルカリ ハロサービスのローンチとともにリリースされ、更に多くの機能を追加し、4月16日に全国展開しました。

2200万超のMAUを持つフリマアプリ「メルカリ」のお客さま基盤をメルカリ ハロで活用するためには、機能面と性能面で一定以上の品質を担保することが必要です。では、なぜ爆速なリリースを実現しながらも品質を担保できたのでしょうか。

メルカリグループの All For One な総力戦

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メルカリ ハロの成功は、メルカリグループ全体の総力戦によるものです。各チームの協力がなければ、短期間で高品質なサービスを提供することはできませんでした。具体的には、以下のチームが重要な役割を果たしました。

  • Architectチーム:開発初期のアーキテクチャー選定とリリース時の品質保証(PRC)に協力。彼らの専門知識と経験により、堅牢なシステム設計と高品質なリリースが実現しました。
  • Platform、Network、SREチーム:インフラ構築やトラブルシューティングに協力し、スケーラブルで信頼性の高いインフラを提供。これにより、サービスのパフォーマンスと可用性が確保されました。
  • メルペイとメルカリのFoundationチーム:IDP、KYC、加盟店基盤、決済基盤、- Growth基盤などのFoundation系サービスを提供。これにより、複雑なシステムも短期間にメルカリ ハロにインテグレートでき、品質も保証されました。

これらのチームからの手厚い且つプロフェッショナルなサポートと、しっかり整えられた基盤サービスの提供があったからこそ、短期間で高い品質の意思決定とサービスレベルの担保が可能となりました。

メルカリ ハロ組織の Move Fast と All For One

メルカリ ハロの初期メンバーは、ほとんどが元々株式会社ソウゾウのメンバーです。ソウゾウのメンバーは、ベンチャー精神を誰よりも持ち、「Move Fast」というバリューを大切にしています。個々のエンジニアがオーナーシップを持って意思決定できるよう、ソウゾウのメンバーはメルカリ ハロのProduct、Design、Backend、Frontend、Mobile、QA、SREチームの骨組みを作り上げました。

メルカリ ハロ組織全体は初期から一丸となり、異なる職種間でも密に連携し、成功のためにあらゆる行動を取りました。エンジニアチーム内やProductチームとの連携はもちろん、Marketing、Customer Support、Sales、Partner Successチームとも密に連携できました。Customer SupportからのVoice of Customer、Partner SuccessからのVoice of Partnerを毎日シェアし、ソリューションを一緒に考えながら、開発の優先度を柔軟に調整してきました。

さらに、Salesの事業者商談にエンジニアも参加し、デモで企業のお客さまの心を捕まえた事例も、この組織の日常的なものになっています。このように一丸となることで、高速なイテレーションが実現しました。

No “Major” Incident

メルカリ ハロはリリース後、2200万超のMAUを持つフリマアプリ「メルカリ」のユーザーにリーチ可能なサービスです。これだけの規模でサービスを提供するためには、一定以上の品質が求められます。品質の低いリリースは、ネガティブインパクトも非常に大きくなります。

そこで、私たちはリリース目標として「No “Major” Incident」を掲げました。この目標の背後には、大きなインシデントを発生させないという意図もありますが、同時に、スピードと両立するために、あえて「小さなインシデントは起こしても良い」という方針をチームに宣言しました。これは、スピードを重視しつつ、重大な問題を未然に防ぐための戦略です。

この方針により、チームは細かいトラブルを通して学び、システム全体の可用性を高めることができました。結果として、リリース後には大きなインシデントは発生せず、一定の品質を維持することができました。

メルカリ ハロエンジニアリングのこれから

サービスローンチしたばかりなので、やりたいことはたくさんあります。

技術面から言うと、アルゴリズム、ML、LLMなどの技術を含めてうまく活用し、今まで存在しなかった感動的な「人、場所、おしごと」との「出会い」を作りたいと考えています。メルカリの強みであるお客さま基盤とデータをうまく活用し、メルカリ ハロで蓄積した新しいデータを含め、「新しい信頼と機会」をひろげたいと思います。

組織面から言うと、開発のボリュームと複雑度が指数的に増えている中、事業成長スピードと共にスケールする組織体制を作ることが個人的に一番楽しめる課題です。

長期的には、「働き方」や「雇用の方法」そのものが変わっていく転換期に突入していくと感じています。スポットワークを始め、「はたらく」という概念の転換を牽引するサービスになりたいです。そして、個人的にはメルカリ ハロ事業の海外進出の可能性にも期待しています。

最後に

メルカリ ハロ開発チームから、より具体的なエンジニアリングエピソードをこれからお送りいたしますので、お楽しみにしてください!

Links

連載:Mercari Hallo, world!  -メルカリ ハロ 開発の裏側-

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