メルカードのマイクロサービスとカード利用開始まで

この記事は、Merpay Advent Calendar 2022 の2日目の記事です。
こんにちは。メルペイ バックエンドエンジニアのyuichi.shiwakuです。

はじめに

この記事では、今年の11月に新たにメルペイから提供を開始した「メルカード」についての簡単な紹介とサービスの開発について触れていきます。今日から3回に分けて、申込みを中心とした機能、決済について、開発プロセスの話を公開予定です。
連載企画:メルカードの舞台裏として、技術チャレンジはもちろん、PMやデザイナーによるサービス設計やデザインについての発信も行いますのであわせてご確認ください。

メルカードはこれまでのメルペイの決済機能に新たにクレジットカードとしての決済方法として追加されています。簡単ではありますが、既存のメルペイのサービスに対してどのように導入を進めていったのかを解説できればと思います。

提供した機能

これまでも、メルペイとしてはiDによる非接触での決済機能やバーチャルカードといった既存のプリペイドカードの仕組みを利用したサービスを提供していました。これらの決済方法と今回のメルカードは、一般的に広く利用されているカード決済と同様の仕組みを用いているため、メルペイとして経験が無いサービスの導入というわけではありませんでしたが、新規のマイクロサービスとして開発を行いました。
新規のマイクロサービスとして開発を行った主な理由はふたつあります。
ひとつは、メルカードを実現するに当たり将来的に実現していきたいサービスを想像したとき、その実現に向けた足がかりとなるように開発の柔軟性を確保。ふたつめは、プリペイドカードと同様の仕組みをベースに提供してきたiDやバーチャルカードと異なり、クレジットカードとしてのサービスなのでメルペイ与信を用いた決済専用のサービスとして提供されていることです。

メルカードを実際に利用していると、これまでのiDやバーチャルカードでの決済とは異なった点があることに気づかれた方もいらっしゃると思います。例えば、メルカードで決済を行った直後は履歴上は「処理中」という表示になり、これまでのメルペイでの決済だと直ぐに残高などで精算を行うことができましたが、精算できるようになるまでに数日かかるようになっています。また、これまでのメルペイの決済サービスと異なり、メルカードでは海外での決済利用も可能となりました。カードの詳細情報の取り扱いや物理カードの発行に伴う手続きなど、新しい観点が非常に多岐に渡ることから新しいマイクロサービスとして立ち上げる事になりました。

開発したサービス

新しいマイクロサービスとして開発したことを紹介をしましたが、メルペイ内でどういった位置づけなのかを簡単に説明します。
メルペイはこれまでもコード決済、ネット決済、iDによるNFC決済、バーチャルカードを用いた決済の機能を提供してきました。これらの決済を支える仕組みとして、決済リクエストを取り扱うレイヤーがあり、それらのサービスからリクエストを決済基盤が受け取り、残高や与信管理を行うサービスと連携し、実際の支払い情報の管理を行っています。

今回のメルカードは図に示した、コード決済やネット決済、iD決済、バーチャルカード決済のレイヤーの機能として開発を行っています。
主にはメルカードの申込みや利用開始、解約、再発行の手続きと決済リクエストの受付を提供しています。
決済処理については明日の記事で紹介が行われるので、本日の記事では利用開始までの手続きや外部サービスとの連携の概要について説明させていただきます。

ナンバーレスのサービス提供

メルカードは最近他社でも増えてきているナンバーレスカードと同様に、アプリ上でのカード情報の表示・確認を提供しており、カード券面への印字は行っていません。実現にあたってはカード情報の取り扱いが大きな課題となります。

決済に用いるカード情報は不正取得の攻撃対象となることから、それらを取り扱うシステムの開発・運用には設計やセキュリティ面での様々な要求があります。これらの情報を直接メルペイで取り扱うと、会社全体の開発や組織への変更が必要になることから、今回はカード情報の取り扱いを専門に行うプロセッサー企業と連携することで実現しました。
具体的には図に示すように、カード情報自体はメルペイ内では過分には保持せず、プロセッサー企業の機能経由で提供することで、サービスを実現できました。この設計には、iD決済やバーチャルカードでの経験が活かされています。

このような連携を行うことで、メルペイとしてのサービス開発、クライアントアプリケーションの開発はこれまでの進め方を維持しつつ、柔軟なサービス開発を実現できています。

申し込みから利用開始手続きまで

メルカードは与信機能を用いた決済サービスなので、メルカードの申し込みには本人確認や与信関連のサービスへの同意が必要になります。本人確認や与信サービスの審査などは、すでに翌月払いや定額払いの機能として提供されているので、今回の申込み時には既存の機能と追加の要求を組み合わせる形で実現しました。

また、メルカードの特徴として、カードの利用開始に有効化の手続きを組み込んだことが挙げられます。具体的には、本人がメルカリアプリでカードの有効化を行うまでは決済が行えないようにしています。お客さまの手元に届くまではただの板なので、安全にお届けるすることができるようになりました。また、本機能やナンバーレス化したことで、これまでのクレジットカードでは受取時に本人確認を求める配送が用いられていますが、メルカードでは一般郵便物として届けられるようになりました。

まとめ

この記事では、新たに提供を開始したメルカードについて、開発したバックエンドのサービスと、提供している機能についての紹介を行いました。

これまで提供されてきた様々なメルペイの機能と組み合わせることで、既存の仕組みを活用し、メルカードで必要な開発に注力することができました。
また、プロセッサーを始めとした企業との連携により、カード情報を安全に取り扱いつつメルカードとしての体験を実現することができています。

個人的な感想にはなりますが、今回のメルカードの機能提供に合わせて様々なメルペイの機能がアップデートされました。メルペイの決済は支払いを毎月まとめて清算する機能だけではなく、個別に都度清算するような機能もあります。今回この機能をメルカードでも実現する事ができたことで、他のカードとはまた違った体験ができるようになっています。
これまでとちょっと違う体験を提供できたことも良い経験となりました。これからも、より良い決済体験の提供を実現していきたいと思います。

明日の記事は uechocoさんです。引き続きお楽しみください。

  • X
  • Facebook
  • linkedin
  • このエントリーをはてなブックマークに追加