技術発信のススメとメルペイでの取り組み

この記事は、Merpay Tech Openness Month 2022 の1日目の記事です。
こんにちは。メルペイの VP of Engieering の@hidekです。

Merpay Tech Openness Month 2022 の第1日目ということで、今回は技術発信について、自分自身の経験とメルペイでの取り組みについて書こうと思います。

はじめての技術発信のモチベーションは承認欲求

僕が初めてコンピューターに触れたのは小学生の頃(1982年頃)でした。当時はインターネットなどあるわけもなく、ソフトウェアを手に入れるには記録媒体を買ってくるか、紙で!印刷されたプログラムを手で入力するしかありませんでした。最初は雑誌に掲載されていたゲームのプログラムを写経をするように打ち込んで遊ぶことで満足していたのですが、当然自分でもゲームを作ってみたいという欲求が湧いてきました。

当時デスクトップコンピューターは買ってもらえなかったのですが、何とかお年玉とクリスマスとをかき集めて NEC の PC-2001 というポケットコンピューターを買うことができました。ディスプレイは液晶二行という、もはやコンピューターというより電卓に近いものでしたが、BASIC インタプリタが内蔵されており、プログラムを入力して実行することができました。これを使って独学でプログラミングを学びながら、ゲームを作ることに夢中になりました。


(当時、投稿して掲載された「マイコンBASICマガジン」がメルカリで購入できたので買ってみました)

子供とは現金なもので作ったゲームを誰かに遊んでもらいたくなり、「マイコンBACISマガジン」に投稿したところ、掲載してもらうことができました。これが僕の初めての技術発信となります。現在のインターネットでの技術発信とは異なり、フィードバックは編集者からの「面白かった」という言葉と雑誌掲載の印税でしたが、それでも嬉しかったのをよく覚えています。

質問することも大事な技術発信

やがてソフトウェアエンジニアを職業として選びました。ビジネスの場でも Linux や MySQL や PHP がシェアを伸ばし始め OSS が盛んになってきた時期でした。当時の OSS コミュニティのコミュニケーションの主体はメーリングリスト(ML)を介したものでした。

いくつかのMLに入って情報収集をしながら、自分からも質問を投げかけてフィードバックを得たり、逆に質問に答えたりするようになりました。最初はこんなことを聞いたら馬鹿にされるのではないか?とビクビクしてたのですが、意外と同じようなことで困っている人がいることが多く、結果みんなの知識が上がっていくという経験がすごく新鮮でした。また、質問をしたり、回答をしたりすることで自分の知識が改めて整理されて蓄積することができたので、この時期に技術力が伸びたと感じることができました。

最近では Stack Overflow のような Q&A のサイトを利用することもできますし、Twitter などで気軽につぶやくのもいいかもしれません。最初は分からないことを共有することから始めるのも良いと思います。

コミュニティでの活動はエンジニアキャリアを豊かにする

その後、仕事での利用をきっかけに Perl に関する技術ネタをブログに書くようになりました。最初は「〜を使ってみた」のような記事から、Web アプリケーションフレームワークや O/R マッパーのプラグインを書いてみたりなど、他愛のないネタが多かったです。そんな記事でも色々なフィードバックを得ることができ、それをきっかけに Perl のコミュニティに参加することになりました。

最初は Shibuya Perl Mongers という小さなコミュニティで Lightning Talk で発表をしながら、徐々に YAPC という比較的大規模なカンファレンスでも発表をする機会をいただきました。この時期は多くのエンジニアと知り合うことができて大いに刺激を受け、自分自身も大きく成長できたと思います。

人とのネットワーキングが広がった結果、キャリアの選択肢が広がりました。たとえば、前職への入社は Perl コミュニティで誘われたのがきっかけでした。コミュニティで得た人とのつながりは、今も仕事上でも大きな財産になっています。技術発信を続けることによって、どのような技術に興味があるのか、どのような技術力かを知ってもらうことにより、人とのつながりが産まれ、キャリアも豊かになると思います。

メルペイとしての技術発信

以上が個人的な技術発信の経験ですが、組織全体に関わる立場になってから、企業発での技術発信にも力を入れるようになりました。メルペイでも去年 Merpay Tech Fest 2021 という比較的大掛かりな技術発信を行いました。メルペイとして技術発信をする目的は2つあります。


(2021年にオンラインで開催された Merpay Tech Fest 2021)

1つ目は私たちのプロダクトを知ってもらうことです。私たちは「テクノロジーでお客さまの課題解決を実現する」、を大切にしています。そこで使われた技術を知ってもらって、プロダクトをより深く知ってもらいたいと考えています。

2つ目は社会への知識還元です。私たちが使っている技術の多くは先人たちの知見をもとに成り立っています。私たちが技術発信することによって、次の世代のエンジニアにとっての新たな知見となり、社会がより良くなっていくと信じています。

こういったことを目的にして技術発信をしていくことにより、どのような人が、どのような技術を使って、どのような取り組みをしているか、ということを知ってもらうことにより、私たちの仲間になることに興味を持ってくれるエンジニアが増え、私たちが新たなチャレンジをしていくゆとりを産んでいきます。

また、先に述べたように技術発信は個人の成長に大きく寄与するので、そのような場を会社として提供することにより、個人の技術力の向上が期待でき、結果として組織全体の技術力の向上も期待できます。

このように会社としての技術発信は、会社全体の技術力の向上に寄与するのですが、技術発信は準備なども含めて、物理的に時間がかかる作業です。これを無償のボランティアによって行うことはフェアではないと考えています。もちろんプロジェクトタスクとのバランスもありますが、メルペイでは技術発信を期初の目標設定に組み込むことを認めていますし、評価軸の一部にもなっています。これによって、技術発信の結果が評価に反映されるようにしています。

会社が発信を評価する活動を通じて、技術発信が根付き、社会やコミュニティへと少しでも貢献できれば、と思っています。

一方で、アウトプットするためにはインプットが必要です。例えば、メルペイでは現在使用している技術に限定せず、業務としての技術カンファレンスへの参加などを推奨しています。私はエンジニアのインプットにボーダーを設けずに支援することが、次の技術チャレンジやスタンダードを産むと信じています。

今回の Merpay Tech Openness Month もみなさんにメルペイのエンジニアや技術について知ってもらうことにより、社会に対して何かしらの価値が届けられたら幸いですし、この機会によってメルペイのエンジニアの成長にも繋がることを期待しています。

明日の記事は Backendエンジニア guhaさんです。引き続きお楽しみください。

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