【書き起こし】多様な働き方を実現するエンジニアの実態 – パネルディスカッション: フルリモートでのEMの仕事 –

2021年10月28日に、「多様な働き方を実現するエンジニアの実態〜メルカリ・エンジニア組織の大解剖〜」 というイベントを開催しました。 この記事はその中のセッションの1つ、「パネルディスカッション – フルリモートでのEMの仕事 -」の書き起こしです。

詳しくはYouTube上にある配信アーカイブをご視聴ください。

当日行われたその他セッションの書き起こしは以下でご覧いただけます。

イントロダクション

メルカリでAIと検索エンジン領域のディレクターを担当している@kimurasです。最近はじまったYOUR CHOICEも関係しますが、先ほどの@yoshitakuさんのセッションでも説明があったようにメリカリではエンジニアを中心として、リモートでの働き方における満足度は高いというデータが出ています。これは自分のペースで仕事を進められる点もありますし、エンジニアリングマネージャー(以下EM)のフォローアップや、Engineering Officeというエンジニアサポートチームによるサポートがあるからだと言えます。

このパネルディスカッションはEMの中でも若手が多かったり、AIのような他チームとのコミュニケーションが難しい分野のチームを担当している3人が、コロナ禍における局面をどう対応してきたかをディスカッションしていきたいと思います。

メルカリにおけるフルリモートワークは2020年3月頃からはじまっており、すでに約1年8ヶ月続いています。すでにドキュメンテーション文化であったり、オンラインコミュニケーションが確立していたこともあり、リモートワークにおける大きな障壁はありませんでした。ただ、マネージメントという観点では、それぞれのEMが工夫を重ねてきたと感じています。

コロナ前であれば、新しく入社された方に対してホワイトボードを使ったり、隣に座って細かく気配りもできましたが、現状は難しい状況です。そういった点を含めて、どのように解決してきたのかを紹介します。

本パネルディスカッションでのモデレーター、パネリストは次の3人になります。

  • モデレーター: @kimuras
  • パネリスト: @umechan、@mappy

自己紹介

@kimuras: ではまずは自己紹介から進めましょう。 @umechan さんお願いします。

@umechan: 僕はCREとCXIチームのEMを担当しています。CREチームでは、カスタマーサポート部門向けのプロダクト開発組織です。私はその中で、マシンラーニング(以下ML)を使って業務効率化を企画、開発しています。CXIでは、メルカリからお客さまに対して送っている通知のデータ分析と改善を行い、体験を改善するのを目的としたチームになります。

前職はWeb企業やFintechスタートアップで、レコメンデーションエンジンや金融予測モデルを開発していました。よろしくお願いします。

@kimuras: 次に@mappyさんお願いします。

mappy: 私はCRM MLのEMを担当しています。MLと入っていますが、機械学習だけでなく、統計や数理計画問題を用いて、お客さまの意思決定のメカニズムを明らかにしたり、現在行っている施策の精度向上などを担うチームになります。

前職はリクルートにて、データサイエンス組織の立ち上げや分析プロジェクトの設計、モデル導入を行っていました。よろしくお願いします。

@kimuras: ではいきなり本題に入る前に、カジュアルに話を進めていきましょう。リモートワークによって、仕事を自分でコントロールできるようになったという声があります。しかし、マネージメントのタスクはフルリモートになって調整する機会が増えたり、休む暇が取りづらくなっているのではないでしょうか。 @umechan さん、その辺りはいかがですか?

@umechan: そうですね。リモートワークも長くなってきましたので、慣れてきたとは思います。とはいえ、プライベートと仕事の切り替えがしづらくて、意識的に行わないといけません。逆に今までの通勤時間を、すべてプライベートや仕事の時間に充てられるので、そこは楽になったと感じます。

@kimuras: @mappyさんはいかがでしょう。前職リクルートということで、日本語環境だったと思います。メルカリで担当されているチームは若手が多くて、かつ英語話者だと思いますが、慣れるのは大変でしたか?

@mappy: そうですね。メンバーの中には日本語話者にとっては難しい英語を話す方もおり、その辺りは最初は大変でしたが、現在は慣れてきました。

リモートワークをうまく回すために工夫していること

@kimuras: 続いてオンボーディングの話に入っていきます。@umechan さんのチームはCRE、マシンラーニングのチームで若手が多いと思います。リモートワークをうまく回すために工夫したことや、問題をどう解決したかを聞かせてください。

@umechan: まず前提として、若手とは言っても皆さん優秀で、かつメルカリのプラットフォームを改善したいという気持ちが強くあります。また、リモートになると隣にいられないので、逐一アドバイスできません。そのため、メンバーに任せるしかない状況であると言えます。 そうなるとメンバーが仕事を自分ごととして、プロアクティブに取り組んでもらう必要があります。私はマネージャーとして、自分から積極的に動いてもらうのが大事ですと伝えたり、彼らの障害になりそうなものを取り除くよう取り組んできました。積極的に動くというのはメルカリが大切にしている価値観ですし、メンバーが全力で走れるような滑走路を作りたいと思って動いてきました。

@kimuras: プロアクティブに働くというのは、今までもあったと思いますが、リモートワークが主体になって、よりメッセージを強化したということでしょうか。

@umechan: そうですね、強調してきました。メルカリとしてのミッションとバリューがあり、それに基づいて年間計画が立てられています。そうした年間計画をメンバーに認識してもらいます。それをベースにした期毎(3ヶ月ごと)の目標を立てることで、プロアクティブに自分で施策を考えたり、仕事が進められるように強化しています。今これをやってくださいではなく、期毎にこれをやってくださいと伝えるようにしています。

ある程度の期間がかかるので、何のために行っているかという、より上位の概念やモチベーションを説明するのが大事だと思います。また、伝える際には口頭だけでなく、ドキュメントに落として、いつでも皆が参照できる状態にするのも重要だと感じています。

@kimuras: たとえばメルカリでは日英、それぞれの話者がいる訳ですが、ドキュメントの内容とか書き方で工夫していることはありますか?

@umechan: ローコンテクストというか、口頭でふんわり共有することでもきちんと文書化したり、言語化されていない背景についても説明するよう心がけています。たとえばMLのシステムを作るのをゴールにしてしまうと、作っただけで終わってしまいます。そうではなく、Business KPIとの関係も意識して、売り上げを上げるために作っていると言った説明をします。そうすることで、何のために行っているのか明確になると思います。

@kimuras: ありがとうございます。では次に@mappyさんはいかがでしょう。@mappyさんのチームは全員が英語話者であったり、数理計画問題と言われる抽象的な概念なので難しい部分もあるかと思います。工夫していることはありますか?

@mappy: オンラインやオフラインは関係なく、やるべきことをやるのが基本スタンスになります。前職の経験で、CRMは予測だけでなくお客さまの理解が大事だと感じていますし、マーケティング側のマネージャーと話して、MLだけでは足りない部分があるのを感じていました。そういった点を踏まえて、MLだけでなく統計モデルやアナリティクス、数理計画を用いることを、最初に時間をかけてメンバーへ説明しました。

メンバーはMLに対しては強かったのですが、数理計画や統計モデルについてはそうではありませんでした。そこで、ある程度のレベルに達するまで、時間をかけて教えました。そしてメンバーの得意不得意、やりたい方向性に応じて自走できるようにコーチングしたのが大きいと思っています。

MLエンジニアはビジネスやマーケティングよりも、アルゴリズムや特徴量に目を向けがちですが、現場感覚も大事です。そのため、出てきたデータを一緒に見ながら仮説を立てたりもします。トレーニングを重ねて、最近では筋のよい仮説が出てくるようになったので、成長を感じていますね。

@kimuras: コーチングは大切ですね。@mappy さんの中で意識していることはありますか?

@mappy: 僕が意識しているのは、適度な距離感になります。まず自分で一生懸命考えてもらって、方向性がずれそうであれば、さりげなく補正していく。そうやって自分で正しい答えを発見できるように促しています。

あとは金曜日の午後はミーティングを入れず、集中できる時間にしています。その代わりに、その中で何をアウトプットするのかを事前にすり合わせています。難しい課題に対して、自分自身で答えを導き出すのを繰り返すことで、アウトプットや仮説の質が上がってきています。

目標設定について

@kimuras: では次のテーマである目標設定について話していきます。目標設定は、他チームともコミュニケーションして、コンセンサスを取らないといけません。MLや数理計画などを他チームの方たちに理解してもらうのは難しいと思いますが、@mappyさんは工夫していることはありますか?

@mappy: そうですね。やはりFace to Faceは楽だと思います。オンラインの場合、より丁寧なコミュニケーションが大事になります。しかし、その結果ミーティングだらけになってしまうこともあるので、ミーティングの時間や回数を適宜見直すようにしています。 あとはマーケティング側とMLチームメンバーと話すときで、それぞれ人格を変えています。マーケティングの方たちとは難しい数式の話はせず、営業マンやコンサルタント的な立場でお話しします。マーケティングの方たちのふわっとした課題を受け止めて、それをメンバーに話す際には数値的なマインドに切り替えて翻訳します。メンバーは英語話者なので、日英への翻訳も必要になりますので、2つの変換を行っていますね。

オンラインマーケティングではOne to Oneマーケティングがとてもやりやすいので、そういった点を意識します。様々なタイプのお客さまがいて、メルカリの中で購入してくれています。そういったことをモデルとして表現するのを意識することで、質の高いアウトプットができるようになると思います。

@kimuras: 経験が感じられて、とても勉強になりますね。では続いて@umechanさんはいかがですか?

@umechan: 僕たちの場合、コンセンサスを取るべきチームはカスタマーサポート(以下CS)部門になります。難しいのは、僕たち開発組織とCS部門との目線合わせになります。CS部門ではお客さまからの問い合わせが随時きており、今目の前で困っている方を助けたいという課題感があります。それに対して開発組織ではもう少し長い、1〜2ヶ月かけて開発して改善を行っていくというスパンの違いがあります。

CS部門は開発組織に早く対応して欲しいと思うでしょうし、開発組織ではリクエストが来る度に内容が違うように感じてしまいます。それは仕組み上そうならざるを得ないので、まずそのギャップを認識することが大事だと思っています。その上で、いつまでに何を行っていくかコンセンサスを取るようにしています。

@kimuras: なるほど。コンセンサスの取り方で注意している点はありますか?

@umechan: 口約束にはしないよう、ドキュメントに落とし込むことでしょうか。先ほど話した年間計画について、CS部門と開発組織で合意を取っています。そこから四半期毎にどういったことを行うか、落とし込んでいます。

@kimuras: メルカリでは進捗においてギャップが生じないようにContinuous Feedbackという仕組みがあります。期末だけで評価するのではなく、継続的に1on1を行って評価していく制度です。この辺りも進捗確認に役立っていますか?

@umechan: そうですね、活用しています。計画は年間や3ヶ月単位ですが、進捗のチェックは頻度が高い方が良いと思います。進む方向は決めていますが、ちゃんと進んでいるかは毎週行う1on1などで継続的にフィードバックを行ってチェックしています。

@kimuras: まだまだ話したいこともありますがここで終了とさせていただきます。ありがとうございました。

一同: ありがとうございました。

さいごに

メルカリではメンバーを募集中です。 少しでもご興味のある方は、ぜひともMercari Careersの募集要項をご覧下さい。

また、今後もエンジニアリング組織に関係するイベントを随時開催していきます。connpassでメルカリ/Mercariのグループメンバーになることで最新情報を受け取れます。