【書き起こし】多様な働き方を実現するエンジニアの実態 – 数字で見るエンジニアのリモートワーク

2021年10月28日に、「多様な働き方を実現するエンジニアの実態〜メルカリ・エンジニア組織の大解剖〜」 というイベントを開催しました。 この記事はその中のセッションの1つ、「数字で見るエンジニアのリモートワーク」の書き起こしです。

詳しくはYouTube上にある配信アーカイブをご視聴ください。

当日行われたその他セッションの書き起こしは以下でご覧いただけます。

スライドは以下となります。

自己紹介

吉沢と申します。メルカリではSlackネームで呼び合う文化があり、私は @yoshitaku と呼ばれています。今でこそ人事を担当していますが、元々エンジニア出身です。エンジニアとして金融機関のシステム部門にて、なかなかしんどくも実りあるシステム開発を進めていました。その後、世の中の人たちが幸せに働ける世界を実現するため、人事コンサル企業の経験やアプリ/人事の分析経験を経て、2021年6月にメルカリへ入社しました。仕事は人事、手段はデータという立場で、社員みなさまがいきいきと働けるよう務めています。

おしながき

本日お話しする内容です。

「YOUR CHOICE」は、2021年9月よりメルカリで新しくはじまったワークスタイルです。その名前に込められている通り、働く方が自身にとって最適な環境を自由に選んで良いというものです。まず、YOUR CHOICEをはじめた結果、エンジニアの方たちがどのような選択をしたのか紹介します。そして実施した結果について、データから読み取れるものについて解説します。最後に、誰と一緒に働くかも大事な環境ですので、メルカリのエンジニアがどんな人たちなのか、データの観点から紹介いたします。

新しいワークスタイル “YOUR CHOICE”

元々YOUR CHOICEはトライアルで検証を進めてきて、2021年9月1日より新制度としてスタートしました。どこで働くのも自由なのでオフィスはもちろん、自宅からフルリモートで働くのもOKです。住む場所も、日本国内どこでもOKとなっています。法律面など、様々な課題もあって今は国内に限っています。ただ、自由とはいっても責任とセットで考えられています。自分で選択はできますが、チームや組織のために最大限パフォーマンスが発揮できる環境を選ぶ必要があります。それも含めてYOUR CHOICEです。なお、YOUR CHOICEは先日プレスリリースを出していますので、詳しくはそちらをご覧ください。

エンジニアの働き方

ではYOUR CHOICEがはじまって、エンジニアの方たちはどんな働き方を選んだのでしょうか。まずは働く場所についてです。質問としては、今後の出社頻度についてたずねています。

結果は、エンジニアの7割が月1回未満ということでした。エンジニアの特徴として、マネージャーも同様の傾向であるという点が挙げられます。リモートワークの問題として、マネージャーが出社するから、メンバーも出社せざるを得ないと言ったものがあるかと思います。そうした心配はメルカリではなさそうです。YOUR CHOICEでは、マネージャーは働き方を推奨できますが、最終的には各個人で決めていいと明記しています。

次に、出社する方たちの出社目的についてです。

このグラフではブルー(エンジニア)だけでなく、オレンジ(全社)にも注目して欲しいです。出社目的の理由としては、チームビルディングやコラボレーションなど、チームに関するものが多くなっています。

メルカリではリモートワークにおいても、組織をうまく動かすための創意工夫を行っています。そのため、チームビルディングやコラボレーションを行うには出社しなければならない、という意味ではありません。この辺りの話は@kimurasさんのパネルディスカッションで取り上げていますので、ぜひそちらをご覧ください。

ワーケーション

続いてワーケーションについてです。ワーケーションはご存じの方も多いと思いますが、WORK + VACATIONを組み合わせた言葉です。どこからでも仕事ができるので、非日常的な環境で仕事するワークスタイルを言います。メルカリでもワーケーションを行っている方は多いと思いますが、実態は把握していません。

疑問に思われるかも知れませんが、自由の一環としてのワーケーションなので、明確な線引きをしていないということです。あえてウォッチしていないですし、メルカリでは申請は不要です。そのくらい自由に、主体性を持って働き方を選べます。

やってみてどうだった?

ここからは実際にやってみた結果について、データで振り返ります。YOUR CHOICEのもっと前、日本で初めて緊急事態宣言が発令され、自宅で仕事せざるを得ない状態になった後の2020年4月末にリモートワークの影響をアンケート調査した結果が次のグラフです。

パフォーマンスは変わらないという回答が過半数、上がったという回答が下がったより多いという結果でした。これは全社の回答結果ですが、エンジニアに限っても同じような結果でした。なお、これは個々人の主観によるもので、この結果だけでパフォーマンスが上がった(または下がった)という判断ができるものではありません。

翌月に似たようなアンケートとして、リモートワークで一体感がなくなったか、仕事がつまらなくなった感覚があるかも聞いています。その答えが次のグラフです。

こちらも似たような結果で、特にマイナスに偏ったり、全社とエンジニアで傾向が違うということはありませんでした。

トライアルにはじまり、現在に至るまでリモートワークを続けていますが、時系列で見た場合の変化を次のグラフで紹介します。これはメルカリで3ヶ月に1回行っている、社内サーベイの結果です。

メルカリでは指標としてeNPS(会社の推薦度)を追っており、2019年10月から定期的に計測しています。スタート時から、コロナの状況下を経てエンジニアや他の職種、どちらも上昇傾向にあります。ただし、これはリモートワークだったから上がったことを示すものではありません。コロナ禍という特殊な状況で、メルカリにとっては人々が外に出づらくなったことがビジネスとして追い風になったことなど、様々な要素が考えられます。

世の人事が問われること

こうしたデータはありますが、アンケートは主観であったり、サーベイでは因果関係を簡単に示せないといった意見があります。そうした中で、結局リモートワークは良かったのかどうか、多くの人事担当者が経営層から問われているのではないでしょうか。

ですが、その答え自体を出すのは難しいというのが実感です。人事データは、アプリのようにABテストできるものではありませんし、大量のデータを使って統計的に確度が高い答えを出せるものでもありません。そこが人事データというスモールデータの世界の難しい点だと言えます。

そのため、データだけに頼らず事実と向き合い確かめ続けるのが人事データの領域です。確実に言えるのは、メルカリが新しいワークスタイルを実現するために、様々なトライアルを行い、一つ一つ検証を進めてきたということです。エンジニアリングマネージャーをはじめ、多くのみなさんが組織と誠実に向き合ってきたことも事実です。

不確かな部分は多々ありますが、それでも必要だからやるというのがメルカリの意思決定です。その背景にはメルカリのカルチャーがどっしりあって、それゆえに大胆な決断ができたと思っています。大事なのは実行すると決めた後、解決すべき問題や課題を追いかけていくことではないかと思います。そこはデータの力が活かせる部分でしょう。

一例としてGoogle社では、リモートワーク中でもパフォーマンスを発揮できるチームについてリサーチを行っていますが、これもその一環だと思います。他にも、アンケートなどのデータを使うことで、何が重要な課題かを見極めることはできるでしょう。例えば自宅環境で集中できないという回答とパフォーマンスが落ちているという回答の関連性であったり、ストレス発散の機会が減っているという回答とストレスが増えたという回答の関連性などです。そういったところから紐解いて、課題を追っていくなどが考えられます。

メルカリでもそのような取り組みをしていくことがあれば、何かの機会で共有したいですね。

メルカリのエンジニアが大事にしていること

これはおまけ的な内容なのですが。働く上で、一緒に働く人がどういった人たちなのかは大事な部分になるでしょう。そこでメルカリのエンジニアが何を価値観として大事にしてる人たちなのか、サーベイの結果を基に紹介します。このサーベイは、メルカリのエンジニアリング組織にて2021年6月に行ったものです。エンジニアが働く上で何を大事にしているのか、どんな成長したいのかといった内容で、結果をクラスタリングしています。

一番人数が多かったのは、成長追求型という名前を付けたグループです。全体の38%にあたる人たちが尊敬できる人と働きたい、成長の実感を得たいと考えています。どちらかと言うと、入社歴が浅い方に多い傾向です。一つの見方ですが、メルカリのエンジニアリング環境は、外部からこう見えていると捉えることができそうです。つまり、こういった期待が満たせるのではないかという、一種の期待値やイメージとしての見方です。

そして下にあるのは社会貢献型になります。これは社会貢献を行いたい、チームでの共同開発を大切にしたいという人たちになります。一定以上のグレードやマネージメントに関わる人たちでは、このタイプが最多です。ですので、実際にメルカリで活躍するエンジニアにはこういう人たちが多い、という親和性を示しているという見方ができるのではないでしょうか。

人事データの活用について

メルカリでは、今まさに人事データの活用が始まったところです。メルカリの財産として、滑らかに蓄積された人事データが存在します。それを活用した動きが加速しています。ただ、こうしたデータはとても便利である反面、従業員から預かっている取り扱いに注意すべきものでもあります。

メルカリおよび人事が掲げているTrust & OpennessやWin-Win Maxという価値観は、どちらも社員に信頼される人事であろうという思いが込められています。それに反しない活用を心がけなければなりません。気になるデータだとか、面白い発見ができそうといった目線は良くありません。社員の人たちに、人事にデータを預けたことで自分たちの働く環境が良くなると実感してもらうことで、お互いに良い関係を築けるのではないでしょうか。

本日はありがとうございました。

事前質問への回答

ここからは事前にいただいていた質問への回答になります。

— Q: 生産性の分析について。自組織の規模ではデータでHRマネジメントを語るところまでリソースを割けていません。自組織でもアクセラレーションのヒントを見つけたいのですが、どうすれば良いでしょうか。

人事データは、スモールデータな世界です。そのため、データだけで統計的に確からしいことを言おうとしたり、帰無仮説を立てたところでなかなか棄却ができない世界です。そのため、データと対話するのがとても大事だと思います。

色々な企業でサーベイを導入していたり、何かしらのデータを使える環境にある方もいるでしょう。しかし、データだけですべてを分かった気になるのではなく、データを使ってディスカッションを回していく必要があります。ディスカッションを続けていく中で、共通するマネージメントの実態などの知見が見えてくると、全体のナレッジにつなげられるのではないでしょうか。

リモートワークにおける生産性を高める工夫やメンタルヘルスなどに対して、データを分析した上で効果がありそうな打ち手を行っていくことになるでしょう。メルカリでも、まだ具体的に着手し切れていない部分があるので、機会があれば紹介したいですね。

— Q: 定量的データの他に、定性的データの分析を行っていますか

定性的データの分析がメインに近いです。データだけで何かを判断するのは非常に危険なので、データを見たら現場の事実とかみ合っているかどうか確認しています。定量的または定性的のどちらかではなく、基本的にセットで進められるよう連携しながらデータ分析を行っています。

さいごに

メルカリではメンバーを募集中です。 少しでもご興味のある方は、ぜひともMercari Careersの募集要項をご覧下さい。

@yoshitakuが所属するHR Data Managementチームでもメンバーを募集しているのでこちらもご興味ある方は募集要項をご覧下さい。

また、今後もエンジニアリング組織に関係するイベントを随時開催していきます。connpassでメルカリ/Mercariのグループメンバーになることで最新情報を受け取れます。