メルカリで築くエンジニアキャリア

メルカリ Engineering Office チームの@yuki.tです。
私たちのチームでは、「全てのエンジニアに最高の従業員体験を」というミッションを元に、様々な活動を行なっています。私はその中でも、エンジニアの評価や異動のための仕組みづくりに携わっています。

この記事では、メルカリエンジニアのキャリアパス・評価制度などを紹介し、メルカリでエンジニアがどのようにしてキャリアを築いていけるかを書いていきます。

メルカリにはワークスタイルを限定せず、多様な働き方を尊重する制度 “YOUR CHOICE” がありますが、キャリアに関しても、それぞれのwillを尊重しながら、バリューを最大限に発揮することを目指した仕組みや制度があります。

メルカリにおけるキャリアタイプ

メルカリでエンジニアとしてキャリアを積み重ねる上で、「マネジメント」「Iindividual contributor(スペシャリスト)」と大きく2つのキャリアパスに分かれています。
そしてそのどちらも多様なあり方が歓迎されています。

マネジメント

メルカリのEM(Engineering manager)は、いわゆる”上司”ではなく、エンジニア組織およびエンジニアのマネジメントをする”役割”として定義されています。

求められる行動や能力は定義されていますが、マネジメントとエンジニアリング実務の比率は決まっていません。特定技術の専門性を強みとするEMもいますし、マネジメントを強みとするEMもいます。
各々が自身の能力とチームのパフォーマンスを最大化できるような働き方をしています。
エンジニア組織全体の割合では15%程をEMが占めており、チームによって異なりますが、平均で大体1人当たりが5,6人のエンジニアをマネジメントしています。

Individual contributor(スペシャリスト)

マネジメント業務に従事していない社員はIC(Individual contributor)と呼ばれ、専門技術に特化してキャリアアップすることができます。マネジメントをしないとグレードが上がらないといったことはなく、ICとしてCTO相当のグレードまで至ることも可能です。
Tech Leadとして、エンジニアチームの技術力の向上にコミットし、技術的意思決定に責任を持つメンバーもICに含まれます。
マネジメントをすることなく、Distinguished engineerとしてメルカリのエンジニアリング文化の向上に貢献しているエンジニアがいることも特徴的です。

参考記事:Systems Thinking for Engineering by darren

成長のサポート

上記のように異なるキャリアタイプから、自分が将来的にどんなキャリアを目指しているかは、マネージャーとの目標設定や評価のタイミング、日々のコミュニケーションから考えていくことができます。

目標設定

メルカリでは一定期間ごとにEMと目標設定を行い、その目標に沿って定期的に進捗を確認しています。

目標設定のフレームワークにはOKRを採用しており、各個人がいくつかのObjectiveとそれに対応する4〜5つの定量的な目標を設定します。この目標設定では担当するPJだけでなく、新しい技術の習得や技術発信、英語力の向上など、個人の成長に関するOKRを設定することもできます。
個人の成長のためには、EMと期待値をよく話し合い設定することや、自分のスキルや日々の行動、将来的なキャリアを言語化することを重視しています。設定した目標は評価の際に振り返りを行います。

メルカリではエンジニアのスキルや行動の指標を言語化しており、Engineering Ladderと呼ばれる、成長段階ごとに期待される行動を明文化した文書をベースに会話が行われます。

Engineering Ladder

Engineering Ladderには6つのグレードがあり、メルカリの等級制度と対応しています。
各グレードに対して、9つのEngineering Principlesごとに期待される行動が記載されています。
Engineering Ladderで、自分のグレードや、目指すべきグレードの説明を基準とし、目標設定やパフォーマンスの確認、評価に使用しています。

メルカリのバリューからつくられた9つのEngineering Principles
9つのEngineering Principles

社内で使われているEngineering Ladderの表 ※全文はこちらで公開されています
社内で使われているEngineering Ladderの表

評価

メルカリでは各メンバーの評価のために半年ごとに下記の3つが行われます。
いずれもEngineering Ladderやメルカリのバリューに基づいたうえで、メンバーの成長を重視して設計されています。

  • メンバー自身による自己評価
  • 周囲のメンバーからのPeer review
  • マネージャーからのFeedback

自己評価

自己評価は、Engineering Ladderに書かれている内容をもとに自身の行動を振り返り、自分のグレードに期待されてる行動が取れているか、次のグレードになるために必要な行動は何か、を確認して言語化します。
言語化することによって、マネージャーと認識をすり合わせたり、自身に対する理解度を深めて今後の成長方針を定めたりといった効果があります。

自己評価の記入欄(Principleの一つであるSeek Continuous Improvementに関する欄)
自己評価の記入欄

Peer review

Peer reviewでは任意のメンバーにレビューを依頼することができます。
依頼できる人数は3名としています。依頼された場合は、メルカリのバリュー(Go Bold, All for One, Be a Pro)に沿ってレビューを書きます。
書かれたレビューは、受け取った本人とそのマネージャーが見ることができます。

Peer Reviewの記入欄
Peer Reviewの記入欄

Peer Reviewは、業務を通して一緒に働いたメンバーから率直な意見を受け取る機会として活用されています。場合によっては開発チームのメンバー同士のほうが、マネージャーよりも長い時間を過ごしている場合があり、とても貴重な機会です。
自分でも気が付かなかった強みや、改善点・アドバイスを受け取ることができるので、それを今後の行動や次の目標設定に活かすことができます。

またPeer Reviewがあることで、マネージャーが客観的な視点を参考にしてFeedbackできるという利点もあります。そうすることで、受け取った本人にとっても納得度の高いFeedbackとなります。

マネージャーからのFeedback

マネージャーからのFeedbackでは、期中の成果と行動に関する評価を確認して話し合われます。

成果を評価する際、目標として設定したOKRも考慮されますが、OKRの達成状況ではなく実際に得られた成果の価値や、そこに至るまでのプロセスそのものが評価されます。
チャレンジングな目標に対してどんな取り組みを行い、成長して成果を得られたのかが重視されます。
また行動の評価ではEngineering Ladderも使用し、メンバーのグレードに定義された内容を満たす行動ができたかを確認します。
Engineering Ladderは9つのPrincipleごとに様々なスキルや行動が定義されていますが、1人のエンジニアがそれらすべてを満たすことの推奨はせず、個人の長所・短所を含め、総合的に評価されます。

マネージャーからのfeedbackを一方的に受け取るのではなく、現時点のパフォーマンスやスキル、強みをの認識をすり合わせ、メンバーとマネージャーで今後のキャリアを見据えながら評価について話を行います。

より短いスパンでのFeedback

上記のようなマネージャーからのFeedbackは会社全体で半年ごとに行われますが、エンジニア組織では鮮度の高いFeedbackを行う機会として、Continuous Feedbackという仕組みを推奨しています。半年後の評価まで待たずにFeedbackすることで、早いタイミングで改善に繋げることが目的です。

Continuous Feedbackでは、Engineering Ladderに沿って行動を振り返るためのテンプレートが用意されています。テンプレートを使いメンバーとマネージャーで期中における現時点の評価を話し合い、期待値の調整などが行われています。
特にリモートワークの環境下では、こまめにパフォーマンスを確認し合うためにも活用されています。

Continuous Feedbackのメリットや効果については、こちらの記事で詳しく紹介されています。

新しいチャレンジへのサポート

メルカリでは、日々の成長のほか、エンジニアが新しいことへチャレンジし成長することも後押ししています。キャリアのオーナーは自分自身であるという考えから、エンジニアが自主性をもってキャリアを選択できるような環境や制度があります。

担当プロジェクトでの挑戦

メルカリではクロスファンクショナルなメンバー構成でプロダクト開発に取り組んでいます。
Backend・Frontendなど、さまざまな専門領域をもつエンジニアのほか、デザイナー・プロダクトマネージャーなど、プロダクト開発に必要なメンバーが集められ、1つのグループチームとして構成されています。
チーム内では積極的に自分で手を挙げてタスクを取ることができ、チームの成功のために自分が何をやるべきか、何に貢献ができるかを、チーム全員が考えて開発を進めています。

開発にあたり、エンジニアは自分の担当する技術領域に制限されず常に最適な技術を駆使するため、専門領域を超えた活躍も歓迎されます。例えば、元々Frontendを専門にしていたメンバーが、必要に応じてBackend部分を開発するといったケースもあります。

新しい領域への挑戦

担当プロジェクトだけでなく、他のドメイン・技術領域・新規事業へ挑戦できる制度もあります。例えば、フロントエンド・バックエンドのようにプロダクト開発に携わるメンバーが、SRE(Site Reliability Engineering)チームへ異動するといったことも可能です。

メルカリのエンジニア組織には、社内でメンバーを募集しているチームの一覧があり、各エンジニアが自ら応募し、異動できます。
現在の仕事での技術領域に関わらず応募できますが、社外からの応募と同じ基準・プロセスで選考されるため、高いスキルが求められます。

また、キャリアについてメンバー自身がオーナーシップを持てるように、現所属チームのマネージャーへ共有・相談するタイミングはメンバー自身が決めることができます。
マネージャーによる人員計画が難しくなるという課題がありますが、業務やPJの状況によって、すぐに異動するのではなく、異動時期を現所属チームと相談して調整しています。

メルカリエンジニアの傾向

メルカリのエンジニア組織では定期的にキャリアに関するサーベイを実施していますが、キャリアの希望として「新しいスキルを習得したい」という意見のスコアが高いため、メンバーが自身の希望でキャリアや技術領域を変更できるようにこの仕組みを開始しました。
またグラフの通り、「エンジニア以外の職種にチャレンジしたい」「新しいロールにチャレンジしたい」という回答も少なくありませんが、Teck PMなどエンジニア以外の職種を目指したり、EMからIC(individual contributor)へロールチェンジしたりすることもできます。

メルカリエンジニアのキャリア志向 (キャリアサーベイの結果から抜粋)
メルカリエンジニアのキャリア志向

制度の活用事例

社内異動制度をどのように利用したいかを調査した結果では、全回答のうち半数近くが「新しいスキルを習得するため」「技術領域を広げたいとき」に制度を使いたいという意見でした。実際に新しいスキル・技術の習得のために異動を希望するメンバーがほとんどです。そのほか社内で新規事業が立ち上がる際にも使われています。

エンジニアとして自身の望むキャリアを考えるとき、メルカリのなかに挑戦の機会があるというポジティブな制度として認識されています。

社内異動制度を使う目的
社内異動制度を使う目的

まとめ

メルカリではキャリアに関して自身が主導して考えることができ、それを会社の制度や文化でもサポートしています。
ただ手厚いサポートということではなく自分のキャリアを責任もって考える必要があるので、Be a Proというバリューの通り、プロとして自主性を重んじています。

またこれらの制度はエンジニアの意見を参考にしながら考えられています。今後もエンジニアがキャリアを形成する上での課題やニーズに合わせて日々進化していきます。

一緒に働くメンバーを募集中

メルカリではエンジニアを募集中です。エンジニアとしてのキャリアを、メルカリで築いていきたいと感じてくださる方とぜひ一緒に働きたいです。
またこういった制度の企画・運営に携わりたいという方も絶賛募集中です。

少しでもご興味があれば、下記のリンクからぜひご覧ください。

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