Engineering Officeについて

Mercari Advent Calendar 2020 の19日目は、Engineering Officeの@hisahikoが担当いたします。

今回はあらためて、メルカリのEngineering Officeについて書きたいと思います。

自社でエンジニアを採用している会社では最近“エンジニア人事”というような、エンジニア自身が人事を担当することがポピュラーになってきています。“Engineering Office”というチーム名を他社でもチラホラと聞くようになってきました。この記事ではメルカリのEngineering Officeがどのようなミッションを持ちどのような活動をしているかを紹介していきたいと思います。

Mission / Vision

まずはMissionについてです。Engineering Officeの活動は非常に多岐にわたるのですが、エンジニアリング組織の強化に主眼をおいて、次のようなミッションを掲げています。
「すべてのエンジニアに最高の従業員体験を提供する」
”Provide the best employee experience for all engineers at mercari”

メルカリのエンジニアは、最高のプロダクトをお客様に提供できるようにしたい。そのために、最高の従業員体験を働くエンジニアに提供することで、より大きな目標に貢献していきます。
Engineering Office => Environment => Engineers => Product => Customers
という関係です。すべては会社がお客様に提供できる価値につながるべきです。ですので、ミッションを説明するときはこの構造が根底にあることをお話することにしています。
VisionについてはEngineering Office Vision for FY2022という形で、各活動領域に対しての目標とする状態を3カ年計画として定めています。

Employee Journey Story for Engineers

「すべてのエンジニアに最高の従業員体験を提供する」の具体的なイメージは、Employee Journey Story for Engineersという文章として、社内に公開されています。
このストーリーは実際のエンジニア一人称の目線で記載されていて、そのエンジニアがメルカリのことを知るところから始まり、プロダクト開発を通じて成長し、退社するまでが記載されています。これによって各タイミングでどのようなEmployee Experience(EX)を提供したいかが示されており、各活動の指針となっています。Engineering Officeの各担当者はこのEXをエンジニアに提供するにはどのようにするべきかを考えて施策を設計しています。
一部を抜粋してご紹介したいと思います。

抜粋1

01.認知
フリマアプリ「メルカリ」はTVCMなどを通じてよく知っている。
運営している会社のこともエンジニアリング関連のサイトでよく名前が出てくるので知っている。
メルカリのEngineering Web Siteは情報収集をしているときに見たことがあり、記事の内容がとても充実していて、エンジニアリングに非常に力を入れているなという印象をもっている。
02.調査
メルカリでの仕事に興味があるので、応募してみようと思い調べ始めると、メルカリ社の採用サイトやオウンドメディアのメルカン、外部の取材記事を通して、技術への取り組みや会社の雰囲気を知ることができた。
組織やカルチャーが気になるのでさらに調べると、メルカリが運営するEngineering Web Siteにとてもわかりやすくオープンな形で公開されている。

抜粋2

14.退社
メルカリのことはとても好きだが、自分の成長のために別の職場での挑戦を選択することにした。
チームメンバー、マネージャー、HRやエンジニアリングオフィスなどと、お互いの今後について話す場がある。
メルカリが考えている未来のことを聞けて、またいつか一緒に仕事ができたらいいなと感じた。
戻ることを考えた場合に相談する先も明確になっていて、過去に在籍していて実績のあった人からの応募は選考でも考慮される仕組みになっている。戻ることを考えた場合に相談する先も明確になっていて、過去に在籍していて実績のあった人からの応募は選考でも考慮される仕組みになっている。

15.退社後
対外的に発信されているメルカリの技術や組織の情報を見ていれば、現在どのような状態なのかはわかるようになっている
メルカリでお世話になっていたマネージャーやメンバーと定期的に食事をし、お互いの近況をシェアするなど、切磋琢磨し合える関係になっている。

多岐にわたる役割

メルカリの「Engineering Office」は、エンジニア組織にいながらもプロダクト開発を主たる役割として持たず、エンジニア組織の強化をひたすらに進めているチームです。
「エンジニア人事」に近いのですが、人事的なことに限ってはいません。様々な構成要素を持つEmployee Journey Storyをカバーするべく活動領域はさらに多岐にわたっています。大きくは下記6つのエリアに領域を区切って活動しています。

  • Developer PR
  • Hiring
  • On-boarding
  • Career Development
  • Culture & Engagement
  • Data & Mechanism

それぞれの領域では下記のような活動を行っています。今まで多数記事になっているので別記事があるところについては、今回はまとめサイト的にそれぞれの活動のリンクを張ってご紹介してみたいと思います。

Developer PR

Hiring

On-boarding

Career Development

  • 役割と責任の定義
  • スキル開発

Culture & Engagement

Data & Mechanism

実際、Engineering Officeとはなんなのか?

ここまでで、ミッションはひとつなのですが、役割が多岐にわたっているというお話をしてきました。このセクションでは「いったいEngineering Officeってなんなんだ?」というお話を書いてみたいと思います。
Engineering Officeという役割は世の中的にもまだあまり共通認識になっているものではないので、役割やキャリアについて書かれたものが存在していません。
また、こちらを読んでくださっている他社の同業者の方もそれぞれ独自に考えられているかと思います。こういう役割のチーム自体の「あり方」は各社ごと状況ごとに多様な形があろうと思います。
広い領域のそれぞれに決して浅からぬ専門性もあります。多様な活動をチームとしてどのように進めていくべきなのか、答えは様々で、一つに決めきれるものではないと思います。それをわかった上で、ここではメルカリでの事例を書いてみたいと思います。

僕たちはEngineering Officeというチームがどうあるべきか、EO Actuallyというドキュメントで下記の通り定義しています。こちらもスペースの都合で項目だけご紹介したいと思います。

EO Actually

EOとはなにか

  • 基本理念
  • 活動範囲と責任
  • 必要となる行動

推奨されるスキル

  • 理解する
  • 実現する

マインドセット

  • パッション
  • ポジティブシンキング

このドキュメントでは活動領域や役割以外にも、専門性の詳細以外の基本要件となるスキルとマインドセットを定義しています。これによってEngineering Officeのメンバーとしてのあり方や、メンバー自身の成長軸を示しています。
なぜこれを作成しているかというと、実際に下記のような課題があったという側面があります。

  • チーム感が薄い(それぞれが、それぞれのことを担当しているため)
  • アサインメントに制約が出る(領域ごとに専門性が異なるため)
  • EOメンバーのキャリアパスや成長軸が不明瞭

Engineering Officeという役割が世の中の共通認識になっていないこともあり、文献もあまりなく参考にできるロールモデルも少ないという状況のため、自分たちで事例を作っていかないとならない状態にあります。文章でメルカリのEngineering Officeとはこういうものだということを定義することによって、上記のような課題の解決のヒントにしたり、各種の活動の指針にしていくことができるようにしていきたいです。
たとえば採用時にはJob Descriptionのベースとして活用し、また既存のメンバーがキャリアに悩んだときにはどのあたりを強化していくとよいのかの参考として活用します。
今後はEO Actuallyを実際に活用しながらチームで議論して、常に現状に沿った状態を保てるよう継続的にバージョンアップしていきたいと考えています。

まとめ

メルカリのEngineering Officeの紹介をしてみました。このような役割は各社によってチーム編成や活動スコープも違うと思います。僕自身も他社ではどのように活動をされているのかに非常に興味を持っていますので、同じようなお仕事をされている皆様、ぜひ情報共有させてください。

20日目は@masaki.hagaです。おたのしみに!!

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