R4D XR とは何か、あるいはなぜメルカリで XR 領域に取り組むのか

Mercari Advent Calendar 2018 の4日目は R4D XR チームの @ikkou がお送りします。

昨日 3 日目は @shoe116 の「GCPでStreamなデータパイプライン始めました」でした。

私は R4D XR チームで XR Research Engineer 兼マネージャーとしてチームの立ち上げ、メルカリ内における XR 領域の推進を行ないつつ、プライベートでは xR Tech Tokyo という XR 開発者向けのコミュニティイベントを主宰しています。

vrtokyo.connpass.com

好きなバーチャルタレントは東雲めぐさんと雛乃木まやさんです。誰もが当たり前のように XR の技術に触れている未来を目指し、2017年9月にメルカリに join しました。

本エントリでは、知られているようであまり知られていない R4D XR チームを紹介します。

R4D そして R4D XR チームについて

R4D は「社会実装を目的とした研究開発組織」です。

一般的に研究開発というと「R&D」と表現されますが、研究 (Research)の R に設計 (Design)・開発 (Development)・実装 (Deployment)・破壊 (Disruption)という 4 つの D を意識して R4D と表現しています。

r4d.mercari.com

R4Dの対象範囲はフリマアプリ「メルカリ」に留まらず、Quantum Computing ( 量子コンピューティング )や、意外なところでは宇宙分野にまで及びます。

about.mercari.com

R4D XR チームはそういった R4D の中で XR 領域、つまり VR と言われる Virtual Reality ( 人工現実感 )、AR と言われる Augmeted Reality ( 拡張現実感 )、MR と言われる Mixed Reality ( 複合現実感 )、そして x Reality ( 変数としての x の意 ) と呼ばれるもの全てを対象に研究開発を進めるチームです。

x Reality の一事例として “Optimized Reality” を唱えているメンバーもいます。

なぜメルカリ “が” 研究開発に取り組むのか

2017年末に催された R4D の対外的な発表イベントで、メルカリ創業者の山田は「技術で差別化するフェーズになってきた」旨の発言を残しています。

jp.techcrunch.com

その時に出ている重要なキーワードが「テックカンパニー」です。この「テックカンパニー」のくだりは今年の10月に催された Mercari Tech Conf 2018 でも引き続き言及されています。

about.mercari.com

メルカリが次のステップに進むため、直近でビジネスに影響すると想定される領域で研究開発に取り組む、それが AI や Machine Learning、IoT や Blockchain、そして VR であり AR でありMR であり、つまり XR 領域でした。

もちろん研究開発を進めていく中で省かれる領域があるかもしれませんし、先の Quantum Computing ( 量子コンピューティング ) や宇宙領域のように、新たに取り組み始めている技術領域もあります。

なぜメルカリ “で” XR に取り組むのか

メルカリが研究開発に取り組む理由、そして研究領域のひとつとして XR 領域に取り組む理由は前述の通りです。

それではなぜメルカリ “で” ゼロから XR 領域に取り組むのか。スタートアップから上場している大きな会社まで ( 例えば同じビルの別フロアにも……!! ) 既に XR 領域に取り組んでいる企業がある中、なぜメルカリで XR 領域に取り組もうとしたのか。

これは R4D XR チームに所属しているメンバー個々人によって違う答えを持っていると思いますが、私の場合は「メルカリだからこそできることがある」と考えたためです。分かりやすいゲームでも、流行りのバーチャル YouTuber でもなく ( 但しやらないとは言っていません ) ノンゲーム、さらにコマースで XR 領域に取り組むことで、XR という技術をより身近なものにできると考えました。

冒頭でも書いていますが、私は誰もが当たり前のように XR の技術に触れている未来を目指しています。大変ありがたいことにメルカリは老若男女を問わず、とても多くの方にご利用いただいています。

しかし、語弊を恐れずに言えばメルカリのお客様の大半の方はまだ XR のような技術とは近くない場所にいると考えています。そのような状況で、メルカリ発で VR に触れるようになったら、AR に触れるようになったら、MR に触れるようになったら、x Reality に触れるようになったら……。

むしろ VR とか AR とか MR とかそういう「小難しい」ことを意識させずに、自然とそれらを使っている状態に出来たらな、と考えています。そしてその手段はエンタメでも非エンタメでも良く、その時その時でやれること・やるべきことを適切にやっていくため、ゼロから XR 領域に取り組んでいます。

R4D XR チームの「やっていき!」

R4D XR チームは、メルカリとして初めて、そして唯一「VR面接」を実施しているチームです。

VR空間での面接が当たり前になる? 〜VR面接、はじめました。〜|mercari R4D

また、去る 10 月に催された Mercari Tech Conf 2018 のオープニングと基調講演で cluster を使った VR ライブ配信を仕掛けたチームでもあります。

mercan.mercari.com

また、VIVE Focus というビデオシースルー機能を持つ一体型、つまり PC に繋がずに単体で動作する HMD をつけたまま六本木ランチを敢行した尖ったメンバーのいるチームでもあります。

togetter.com

しかし、今日現在、メルカリには社外から見た時に分かりやすい VR のプロダクトも AR のプロダクトも MR のプロダクトもありません。

もしかすると、皆さんが毎日のように使っている ( と願っている ) フリマアプリ「メルカリ」を VR 化して、バーチャル空間に無数の商品がクラスタリングされて飛び回るようになるかもしれません。もしかすると AR/MR 化して商品を現実世界に重畳するようになるかもしれません。意外とメルカリと XR 技術の相性は良いので、色々な可能性を探っている段階です。

いずれも「もしかして」であり、少なくとも今は「分かりやすいプロダクト」が無いのは事実ですが、基本的に次のスタンスでやっています。

  • Engineer 自身がやりたいことをやる
  • 必ずしもフリマアプリ「メルカリ」に関係しなくても良い
  • Software だけではなく Hardware をやっても良い

もちろん「やれる」と「やる」は別なので、例えば toC 向けで売り上げを伸ばしている特定ジャンルをやるのかと言うと、決してそういうことではありません。しかし、まだまだ立ち上がったばかりのチームということもあり、出来るだけ振り幅に制限をかけない状態で進めています。
もしかするとメルカリが突然 Steamworks ( Valve Corporation が運営する PC ゲーム等を販売するプラットフォームにアプリをリリースするためのシステム ) を開設していることすら考えられます。

また、Unity を用いたフロントエンド開発だけではなく、R4D の R の部分にあたる「研究」にも取り組んでいきます。既に R4D としては複数の学術機関・企業との共同研究を発表していますが、同じような座組で XR 関係の研究を推進していきます。

多くの目に見える技術の背景には基礎研究と応用研究にあたるものがあるので、研究し、論文を発表していく文字通りの研究者も R4D そして R4D XR チームの役割となります。

そして各種 XR 系のイベントやカンファレンスに参加して自分の眼で見た一次情報を発信することも積極的に行なっています。直近では MagicLeap のカンファレンス L.E.A.P. や XRDC など、日本からの参加者が少なかったイベントのレポートも公開しています。

年明けには CES, SXSW, GDC, IEEE VR と XR 関連イベントが目白押しなので、なかなか忙しくなりそうです。

そんな R4D XR チームですが、今年のメルカリアドベントカレンダー 25 日間中の 5 日間は R4D XR チームが担当しています。残りの 4 日間は @gravitino, @nakatarotaro, @nkjzm, @ash_yanagisawa が技術ネタを post しますので、楽しみにしていてください:D

おわりに

本エントリで R4D XR チームに興味を持った方は下記の募集ページからぜひ Apply してください。Software Engineer も Hardware Engineer も Backend Engineer も Planner も Designer も全方位で探しています。そして Reseacher も大歓迎です。
もっと詳しく聞きたい、会って喋りたい、という方は Twitter @ikkou 宛に mention を飛ばしてください:D

mercari – Jobs: XR Engineer, R4D – Apply online

明日 5 日目の担当は @catatsuy です。引き続きお楽しみください ! 

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