mercari.go #27 を開催しました #mercarigo

はじめに

こんにちは、mercari.go スタッフの kobaryo と earlgray です。

9月19日にメルカリ主催の Go 勉強会 mercari.go #27 を YouTube のオンライン配信にて開催しました。この記事では、当日の各発表を簡単に紹介します。動画もアップロードされていますので、こちらもぜひご覧ください。

Writing profitable tests in Go

1つ目のセッションは @kinbiko さんによる「Writing profitable tests in Go」です。

発表資料: Writing profitable tests in Go

利益の観点での Go によるテストの考え方というテーマで、テストを書くかどうかを決めるルールや Go でのテスト記述のテクニックについて紹介しました。テストはコードの動作を確認する他、将来での変更で問題がないことを保証する点で役に立ちます。しかし、テストには記述の時間や実行のコストが発生するため、組織の過去のインシデントの影響や給与などを基にして、インシデント対応やデバッグに費やす時間やお金を計算してコストが見合っているか考えることが重要とのことでした。また、Go でのテストにおいては、可読性やコードの品質を高めることによる利点、サブテストの可読性のためにテーブル駆動テストを強要するデメリットなどを Tips として紹介して頂きました。この他にも様々な Tips を紹介して頂いたので興味がある方はぜひご覧になってみてください。

テーブル駆動テストは Go では見かけることが多いですし、サブテストの可読性が高いという観点でついついテーブル駆動で記述してしまう方も多いと思います。私自身もそうでしたが、今回利点と欠点を理解することができたため、今後は適切なユースケースで利用したいと思いました。(earlgray)

GC24 Recap: Interface Internals

2つ目のセッションは @task4233 さんによる「GC24 Recap: Interface Internals」でした。

発表資料: GC24 Recap: Interface Internals

このセッションでは GopherCon 2024 で発表された Interface Internals の振り返りとして、インターフェースを介した関数呼び出しがどのように実行されているかを、デバッガを用いて実際にメモリ中の値を見ながら説明しました。

Go プログラムをアセンブリにすると、関数の処理が書かれてあるメモリアドレスを call 命令で指定することで関数呼び出しを行っていることが分かります。しかしながら、インターフェースを介するメソッド呼び出しだと動的に呼び出す関数が選ばれるため、この仕組みをそのまま用いることができません。このセッションでは、インターフェースがどのようなデータ構造により実装されているかから始め、呼び出されるメソッドのアドレスを決定する方法、またその高速化手法について説明しました。

密度の高いかつ Go 言語のコアな部分を扱った発表だったため、リファレンスを読みつつ何度も見てきちんと理解したいと個人的に感じました。(kobaryo)

GC24 Recap: Who Tests the Tests?

3つ目のセッションは @Ruslan さんによる「GC24 Recap: Who Tests the Tests?」でした。

発表資料: GC24 Recap: Who Tests the Tests?

このセッションも2つ目の GC24 Recap: Interface Internals と同様 GopherCon 2024 の振り返りで、Who Tests the Tests? の内容を扱いました。

我々はソフトウェアの品質が保たれているかの指標としてテストのカバレッジを用いますが、それではテストそのものの品質を担保することはできません。このセッションでは、テストの品質を担保する Mutation Test を紹介しました。この手法を用いることで、プログラム中の演算子や bool 値を変更した場合にテストが失敗するかをチェックし、テストが正しいプログラムのみを通すことを保証することができます。また、そのようなプログラムを AST パッケージを利用して自動で生成する方法についても説明しました。

内容がテストそのものの品質を担保するという興味深いものであった上、実践に移しやすい内容となっており、とても有益なセッションでした。このブログを読んでいる皆様もぜひ導入を検討してはいかがでしょうか。(kobaryo)

Cloud Pub/Sub – High Speed In-App Notification Delivery

4つ目のセッションは @akram さんによる「Cloud Pub/Sub – High Speed In-App Notification Delivery」です。

発表資料: Cloud Pub/Sub – High Speed In-App Notification Delivery

メルカリでの通知の管理を行う Notification platform における Cloud Pub/Sub の活用事例について紹介しました。メルカリではアプリ内通知や To-Do リストの他、メールや Push 通知などをお客様へ送信しています。2,000万人以上のお客様にリアルタイムかつ非同期的な通知を行えるようなパフォーマンスを実現するため、notification platform では Cloud Pub/Sub を使用しています。具体的には、notification platform 内で Push 通知のリクエストを受けて Pub/Sub に publish するサーバと、Pub/Sub を subscribe して実際に通知を行うサーバの2台の構成で通知処理を行っています。この結果、現在メルカリでは1日あたり1,600万以上(ピーク時 400rps) の Push 通知を実現しているとのことでした。

メルカリという大規模プラットフォームにおける Pub/Sub の活用事例としてとても興味深い内容でした。非同期的なタスクの処理にパフォーマンスの課題を感じている方は Pub/Sub の導入を検討してみてはいかがでしょうか。 (earlgray)

おわりに

今回はGo言語のコアな部分から実用的なものまで、幅広い4つの発表をお送りしました。GopherCon 2024 に関する発表もあり、運営メンバーとしてもGoの最先端の内容を知ることができ大変勉強になりました。

ライブで視聴いただいた方も録画を観ていただいた方も本当にありがとうございました!

次回の開催もお楽しみに!
イベント開催案内を受け取りたい方は、connpass グループのメンバーになってくださいね!
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