この記事は Merpay Advent Calendar 2023 の 24 日目の記事です。
こんにちは、メルコインの @pooh です。
メルカリグループでは金融事業を営んでいるメルペイとメルコインのEngineering Manager(EM)で普段とは別の場所に集まって1日集中して議論をするOffsitesを定期的に実施しています。
この投稿ではOffsitesそのものを紹介するのではなく、Offsitesでよく実施されるワークショップ(参加型作業)についての4つの工夫を紹介します。
複数人が集まって、何かのテーマについて意見を出し合い、意見をまとめて発表するというワークショップはよくあると思います。これから紹介する方法を使用することでより活発な成果が望めます。
本記事では私の経験とメルカリという組織での実践上の知見を書いています。そのため、組織ごとに別のよりよいやり方もあると思いますので、参考程度にそういう考えもある、ぐらいの気持ちで読んでください。
1.付箋に書いてから発表する
ワークショップではチームに分かれて、チーム内でディスカッションをして意見やアイディア出しをしていきます。例えば、EM Offsitesでは「2023年10月〜12月を振り返って良かったこと・悪かったこと」といったテーマを設定し意見を出しあいました。このときに思いついた人から口頭で順次発表していくことがあります。ここで1つ目の提案となります。
最初に時間をとって各自で意見やアイディアを手元の付箋に書く
各自で書き出しをした後に発表をしていくとよいかもしれません。最初に付箋に書き出すことによる期待効果は次の通りです。
- 考えて書き出しているので意見がまとまる
- 発表に時間がかからない
- 書いている間は他人の意見が見えないこと
1人ずつ書かずに口頭で発表する場合、2、3人目からは「私もそうなんですけど…」という意見が出やすくなったり、他の人の意見に左右される可能性があります。最初に付箋に書いて発表することで、主体的に自分で考えたアイディアや意見を発表できるようになります。
付箋にあらかじめ書いてあることを読み上げるので、1つの発表が長くなったり、発表の始めと終わりで内容が異なる状態を防ぐことができます。
オンラインとのハイブリッド開催の時
オフラインとオンラインのハイブリッド開催をする時には、付箋ではオンライン参加者には見えずに不便でした。ハイブリッド開催の時にはオンラインホワイトボードを使いました。オンラインホワイトボードを使う場合でも、各自で考えている時には別のファイルやPC上のエディタを使って他の人から見えないようにすると付箋に手書きと同じ効果を得られそうです。
この投稿の本題ではないのですが、ハイブリッド開催の時にはPCのマイクとスピーカーでは音量面でオンライン、オフライン相互に聞き取りにくいことがあります。外付けのスピーカーとマイクの用意をお勧めします。マイクロソフトの「Modern USB-C Speaker」は持ち運びがしやすく、音量も大きく良かったです。
2.順番に1つずつ発表する
グループディスカッションでは付箋に書き出して発表します。発表する際には1人ずつ順番に発表していき、最終的に各自で書いたものをまとめてグループの成果として発表する形式を取ります。ここで2つ目の提案となります。
順番に1つずつ自分の書いた付箋を読む。1つ読んだら次の人が読んで、を繰り返して何周か回す。自分の番がきて、もうすべて自分の書いたものを読んでしまった人はパスしていい
この方法で発表していくと1人の意見で全体の雰囲気が動くのではなく、みんなの意見が順番に出てくるので発言の機会が均一になります。意見が平均的に出せるようになるため雰囲気が悪くなりません。「けっこういい」とみんなが共感できる意見が色々な人から出てくるため、雰囲気がよくなります。
発表するときには書いたことを発表し時間をかけないようにします。書いた理由や背景などの説明はせずに付箋に書いたことを発表します。小さな付箋を使うと単語しか書けないので大きな付箋を使い単語ではなく発表する内容を書いておきます。
EM Offsitesでは「良かったこと」ではつぎのような発表がありました。
- メルペイのTech PRで新しい取り組みができている
- リリースした口座入金経由で直接メルコイン口座に残高反映する機能が使われている
- メルコインのEngineer All-Hands(エンジニアメンバーを対象とした毎月開催している全社会)が前回評判よかった気がする
「悪かったこと」ではつぎのような発表がありました。
- リソース不足でPJのスケジュールが遅延したり厳しいスケジュールになった
- プラットフォーム機能開発が進まなかった
- 情報共有が不足していた
3.問題を「どのようにすれば」に置き換える
ワークショップでは「xxxxに関してどんな問題点や懸念点があるか」や「悪い点」などをリストアップすることがあります。それをリストアップしていくと、当然ながら「なかなか難しいね」となることがあります。ここで3つ目の提案になります。
問題を発表した後、それぞれを「どのようにすれば〜〜〜か?」の疑問に言い換える
効果を説明する前に具体例を出してみます。
「プラットフォーム機能開発が進まなかった」という問題を発表した場合、「どのようにすればプラットフォーム機能開発ができるか?」となります。
このように「どのようにすれば」の質問文にすることで、答えを考えられるようになります。「問題なのはわかったから、改善策を言って欲しい」という言葉をたまに耳にすることがあります。課題を質問文に言い換えてもらうことで、自然と答えを考え始められます。
4.もっと面白い質問にする
「どのようにすれば」の質問文にすることで、答えを考えてしまう状況を作れました。もう一歩進められるようにします。
もっと面白い質問のかたちにして、もっといろんな人が考えてくれるようにする
もっと面白い質問にするために次のようにします。
- 「これが起こったらいいな〜」と思うような文章にする
- 「日本一」「世界一」と言った言葉をいれる
先ほどの質問文「どのようにすればプラットフォーム機能開発ができるか」を「どのようにすれば日本一便利なプラットフォーム機能を開発できるか?」に変えてみます。これでただ単に課題を解決するだけではない、ベストな素晴らしい解決策を多くの人が考え始めたはずです。
まとめ
この記事では、つぎの4つの工夫を紹介しました。
- 付箋に書いてから発表する
- 順番に1つずつ発表する
- 問題を「どのようにすれば」に置き換える
- もっと面白い質問にする
これらの工夫のうち、1つ目と2つ目は実際に私がワークショップでファシリテーターをする時にしていることです。EM Offsitesのときにも利用しました。3つ目はOffsitesで使ったわけではないですが、日頃心がけています。自分で使用したり、問題を提起してくれた人に使ったりしてます。4つ目はなかなかできていないです。
実際に1つ目と2つ目について利用したメンバーに感想を聞いてみました。
- みんなの意見を聞くことができる & たくさん話したい人は後半話す時間がある、ということで時間効率を最大化できてると思いました
- 参加者の意見を満遍なく聞けることと、意見の数によってはスキップする自由みたいなところもあったので、意見が出やすくてよかったのでは無いかと思いました
- ワークショップの目的の認識合わせが不十分だったので、手法以前の改善ポイントがあったように思います。その点からワークショップとしては消化不良でした。
手法としてはポジティブなフィードバックをもらえました。一方でワークショップのゴールが何か、ワークショップが終わった後に何を達成したいのかの認識合わせを最初に実施することの重要性を再認識しました。
ここで紹介したことは、大橋禅太郎氏の「すごい会議」で紹介されていたものになります。この投稿を書くにあたって改めて読みましたが、同僚にも勧めたいと思える書籍です。
書籍では手法も紹介していますが、ワークショップの目的の認識合わせをする「このワークショップが終わったときにどんな成果をあげることを期待しているか」から意見出しをしていました。
会議進行は方法によって効果的になったり非効率になったりします。効果的になる方法については全員で共有していければと思います。
明日の記事は kimurasさんです。引き続きお楽しみください。