メルペイのProgram型組織への移行

はじめに

こんにちは。メルペイVPoEの@keigowです。
この記事は、Merpay Advent Calendar 2023 の2日目の記事です。

今年の3月まではソウゾウでHead of Engineeringとして働いていましたが、4月にメルペイに2年ぶりに戻ってきました。本日はメルペイのProduct組織の改善とProgram組織への移行の取り組みについてご紹介します。

以前のProject Matrix型組織

2022年9月までは、Microservicesの単位をベースとして構成されたFunctionチーム(Growth、Platform、与信領域など)から、3ヶ月ごとに決めているProject(新機能開発、他社連携など)に各メンバーをアサインしていくという形でProduct開発を推進していました。

Project Matrix

会社のOKRとして合意した目標に沿って、Productチーム内でProjectの優先度を決めて左から順に並べ、Project毎にProject LeaderとTechnical Project Manager(Engineeringのカウンターパート)を置くことで、以下のような良い点があったと考えています。

  • 事業としてフォーカスされている点が理解しやすい
  • 優先順位が明確なためアサインの判断がしやすい
  • 結果として、会社として重要なProject(チーム横断な動きが必要なものであっても)をスピード感を持って推進できる

一方で以下のような課題感もありました。

  • 組織の成長と人員増加に伴い、優先順位の調整コストが高まってきた
  • 3ヶ月単位でProjectの見直しがあり、アサインの変更も随時行っていたため、チームビルディングのコストが高い
  • 今後の運用や改善までを想定した中長期の計画づくりが難しくなっていた

これらの課題感を踏まえて、2022年10月より新しいProgram型組織への移行を開始しました。

Program型組織の導入

特定のドメインごとに組織を分けて、より小さな単位で意思決定をできるようにしたチームをProgramと呼んでいます。現在メルペイには6つのProgramがあり、その役割ごとに大きくProduct / Foundation / Enablingという3つの領域に分けています。

  • Product: 支払いや与信、還元の仕組みなどお客さま体験のコアとなる部分の提供を担う。
  • Foundation: 各Product領域のProgramに対して汎用的に利用可能なPlatform機能を提供する。決済の中心となるマイクロサービスや、KYC(本人確認)、ポイント付与の仕組みなど。
  • Enabling: ArchitectやSRE、Data Platformなど、横断的な技術課題の解決や生産性向上など開発全体を支援する。

Program System

各ProgramにはProduct HeadとEngineering Headを置いています。Product Headは施策の優先順位の決定や、戦略・ロードマップの策定とその推進に責任を持ち、Engineering Headは中長期を見据えた技術的な戦略や方針の策定と推進に責任を持っています。

基本的にはOKRなど会社方針をベースにProgram内で意思決定が出来るようにしていますが、3ヶ月ごとにProgram HeadメンバーとCPO/CTO/VPsを交えたStrategy Reviewを行うことで、Program組織の戦略と経営の戦略の方向性を揃えられるようにしています。

Engineering組織のアップデート

ドメイン毎のProgram組織を作ることで、Program内のアサインに柔軟性が生まれ、運用や改善も踏まえた、中長期の戦略への投資がしやすい環境になりました。一方でEngineering組織のレポートラインは職種別となっており、Backend、Frontend、iOS、Androidなど各職種別にEngineering Manager(EM)、Manager of Managers(MoM、EMのManager)が居るという体制になっていました。その結果として一部のEMやMoMが各Programにフォーカスすることが難しいという課題が有りました。

この問題を解決するため、今年の10月からProgram組織に合わせたレポートラインに変更し、それぞれのEMやMoMが自身の担当するProgramにフォーカスできるような体制変更を行いました。

EM Org Structure

振り返りと今後

Program組織にトライし始めたのは1年ほど前ですが、Engineering組織のアップデートも含め、細かい改善を積み重ねることで、少しずつ動きやすい状況が作れてきたと思います。とはいえ、まだまだ課題も多いため、1つずつ課題と向き合って解決していきたいと思っています。

余談になりますが、今回のような組織体制はメルペイとしては初めてではなく、Project Matrixをベースとした体制に移る前には、(当然今と違う部分はありますが)Program組織に近い体制を取っていた時期もありました。

組織変更はコストが高いので、頻繁に変えすぎるのは良くないと思っていますが、一定のタイミングでその時の状況やニーズに合わせて、変化をしていくこと自体は必要だし、やっていきたいと思っています。どのような組織もPros/Consがあるものだと思うので、ある意味自然な姿だとも感じます。

おわりに

明日の記事はkeigoandさんの「Merging teams for a Growth Platform」です。引き続きお楽しみください。

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