【書き起こし】Building a Global environment at Merpay: India & Japan – Robert Jerovsek / Keigo Andrade / Sumil Panicker【Merpay & Mercoin Tech Fest 2023】

Merpay & Mercoin Tech Fest 2023 は、事業との関わりから技術への興味を深め、プロダクトやサービスを支えるエンジニアリングを知ることができるお祭りで、2023年8月22日(火)からの3日間、開催しました。セッションでは、事業を支える組織・技術・課題などへの試行錯誤やアプローチを紹介していきました。
この記事は、「Building a Global environment at Merpay: India & Japan」の書き起こしです。

@robert:皆さんこんにちは。本日はセッションにご参加いただいてありがとうございます。「Building a Global environment at Merpay: India & Japan」というタイトルのディスカッションです。

@robert:私はRobertといいます。ヨーロッパ出身です。過去にはいろいろな国で仕事をしておりまして、メルペイには5年ほど前に入社しました。元々はバックエンドエンジニアをしておりました。今はエンジニアリングマネージャーをしています。

@keigoand:私はブラジル出身のKeigoと言います。私はわりと早くコンピューティングエンジニアリング、ソフトエンジニアリングを始めました。ドイツに引っ越し、インドオフィスのチームと仕事をしていたこともあります。メルカリに入社したのは2021年で、エンジニアのマネジメントを数年前から務めております。

@Sumil:私はSumilと申します。私はエンジニアリングマネージャーとしてメルカリのインドオフィスから関わっております。メルカリインドには2023年2月に入社し、Growth Platformで仕事をしています。メルカリに入る前は、Amazonで5年ほど経験を積み、10年ほどCiscoで仕事をしておりました。

3人ともインドのオフィスからライブで参加しています。このトピックに大変わくわくしております。

@robert:昨年のMerpay Tech Festに参加した方もいらっしゃると思います。その当時私たちはグローバルなプランについてお話ししました。インドのCenter of Excellenceを開設するということで、当時は何が起きるのか、誰が関わるのか、どういう課題があるのかもわかっていませんでした。

しかし、メルカリのバリューである「Go Bold」を元に勇敢に進め、1年ほどいろいろな経験を積みました。今日は、その進捗を共有します。

参考記事:【書き起こし】 Building an inclusive multicultural environment at merpay: Past, Present and Future – Tim、Robert【Merpay Tech Fest 2022】

メルカリは、「Marketplace」と「Fintech」にわかれています。Marketplaceは、フリマアプリ「メルカリ」で誰でも安心して簡単に売り買いが楽しめるプラットフォームを提供し、FintechはiD決済などのメルペイ、アプリ内で完結するクレジットカード「メルカード」などさまざま金融サービスを提供しています。日本国内の開発で、「Marketplace」と「Fintech」はお互いに連携しています。

インドオフィス設立時、どこの開発を担当してもらうかを考えました。日本国内の開発と同様、「Marketplace」と「Fintech」の開発両方に関わってほしいという気持ちはあるものの、「Fintech」の開発は難しい部分がありました。日本の金融サービスということで、セキュリティや言語などについての検討が必要です。そこで、「Fintech」領域ではそこまで金融特有の課題が少ないGrowth Platformの開発に関わってもらっています。

@keigoand:マーケティングもグロースの一つです。いろいろなツールやサービスがキャンペーンに使われています。例えばバナーやランディングページ、通知、インセンティブなどでお客さまとコミュニケーションをとります。

Growth Platformのエンジニアリングはメルペイに所属しています。日本リージョン全体に提供するもので、影響力がたくさんあります。

また、いくつか決定的な瞬間がありました。1年ほど前、10月にバンガロールのオフィスを訪問しました。当時すでにいくつかのチームメンバーがインドのオフィスに参加していて、メンバーの選考やオンボーディングをしました。10月は、このチームにとっては大変決定的な瞬間で、インドのオフィスでは重要なタイミングでした。選考した人たちが今も在籍しているので、それは良かったと思います。

そして1月には、開発プロセスをよりよくするためにスクラムの改善を検討・調整しました。

2月にマネージャーとしてSumilが入ったことで、コラボレーションをさらに強化できました。それまでは、多くの人たちが入社して問題も多かったのですが、メルカリの10周年の頃に落ち着いてきました。

@Sumil:私は2023年2月頃に入社しました。
3月に、日本オフィスを訪問する機会がありました。オフィスに訪問するまでは、まだまだまとまっておらず、うまくいったことも改善しなければならなかったこともたくさんありました。どこを調整すべきなのかを直接お話しする、良い機会となりました。

その副次効果として、お互いの関係をチームの中で構築できたことはよかったと思います。そして、お互いに安心できるようになりました。以前のコミュニケーションはオンラインだったので、直接会ったのが良かったと思います。

当時の方向性として組織が考えていたのは、インドチームを自律的にしようということです。そして次の四半期の責任やロールを検討し、インドからテックリードのロールを持つというのが一つの方向性として決まりました。

それ以降、「自律性を持つ」という方向性に基づいて、4月頃にインドチームが日本オフィスをサポートし、より自律できるようになりました。それ以降、日本人がインドオフィスを訪問してきました。これによって、さらに絆を深めることができたと思います。

@robert:続いて、どのような課題があったのか、どう乗り越えたのかをお話ししたいと思います。

@keigoand:この写真は10月に私がバンガロールに来たときの写真です。ホワイトボードでの打ち合わせを行い、対応すべき課題が見えてきました。例えば、当時はやらなきゃいけないこと・やりたいことはありましたけれども、そのプロセスがあまり明確ではありませんでした。

またカルチャーも異なっており、それも課題だったと思います。カルチャーは何なのかという定義も必要ですが、言語の壁もありました。それらの課題というのが結果的には強みにもなったと思います。期待値や人材の採用といった課題もあったので、次に、深掘りしたいと思います。

プロセスの不明瞭さについてはどう対応したのでしょうか?

@Sumil:プロセスについて、コンテキストを明確にしました。インドと日本だけではなくさまざまな国籍の人たちがチームに関わっています。連携をし始めたときに何が面白かったかといいますと、チームがスクラムをしようと言ったときに、スクラムを普遍的に理解できたことです。それがチームの基礎となり、どうやって実行するのかという基盤になったと思います。

全てを教科書通りに行っていたのですが一つ例外があります。それは日々の進捗についてです。毎日30分くらいの定例を行っていました。チームの何がうまくいったのか、昨日やったのは何なのか、今日何をしなきゃいけないのかを共有しました。ディスカッションがある一定領域を超えたら、そこから派生してもいいということになりました。それが6、7ヶ月ぐらいうまくいっていたと思います。

もう一つ補足したいのが、みんな何かしらのアクセントがあることです。喋るとき、アクセントがわかりづらいというときもあります。それから面白いのが、誰かがミーティングを行っている間、何かを書き留めています。それによってメンバー全員に内容が伝わったと思います。

また他のドキュメントもあります。たとえば、ディスカッションしたかがわかるデザインのドキュメントも使いました。これが、そのコラボレーションで役に立ったと思います。

@keigoand:ただ、全てパーフェクトにはなりません。スクラムでも制約があります。ただ、クリアなプロセスがあるということで、これは非常に役に立ちました。さらに、ドキュメンテーションもなかなか簡単ではありません。またコミュニケーションにも時間がかかるということもあるんですよね。

また、柔軟性も非常に重要だと思います。文化が違うところもあるので、これが我々の強みだと思います。

@Sumil:我々は文化の違いの話をしてきましたが、個人個人でも違うわけです。非常に多様性があります。メルカリでも個人個人のレベルでも尊重していると思います。

例えばディスカッションしていると、問題に対して楽観的に見ています。しかし、個人個人、ある部分を見てないこともあるかもしれません。そうすると誰かがこういう非常にクリティカルな過程からそれを見たときに、その人が問題を提起することもあります。

そういう意味でそれぞれのこの意見の違いを尊重しています。そうすることで、正しい意思決定ができると思います。開発の中ではこういったものを、やっていくわけですが、プランニングデザインのディスカッションでも同じようなことが起こると思います。また楽しむということも大切です。例えば新しい言葉を学ぶということを楽しんでいます。

@keigoand:私は食べ物に関連する言葉をよく学びました。技術的なところでもそうだと思います。技術的な言葉を学ぶのは面白かったです。

@keigoand:言語にいろいろなバリアがありましたが、もう1年くらい経っています。Global Operations Teamのサポートでチームミーティングや1on1などいろいろなミーティングをしています。

DeepLは、翻訳ツールです。日本語・英語に翻訳することができます。情報を共有したいときにはDeepLをよく使います。

@robert:日本人以外にも非常に多くの人たちが日本語をしゃべります。ただ、言語を学ぶというのは時間がかかりますよね。

ある日、インドオフィスのエンジニアが英語で書いたテキストを日本語に変えました。そして日本人のカスタマーサポートメンバーが回答を日本語で書いて、さらにDeepLで翻訳してといったコミュニケーションをSlack上でとっていました。これはいい例だと思います。

@keigoand:このメッセージが日本語だったら、「この言語は知らないから」と無視してしまうかもしれません。しかし、カスタマーサポートのようなチームでは日本語の方が都合がいいこともあります。一方、エンジニアはドキュメンテーションは英語の方ががいいと言っています。お互いに話をするということが必要な際に、DeepLは非常に役立ちます。

@Sumil:続いて、Availabilityについてです。これも、非常に面白い内容です。

インドと日本では、Timezoneが違います。日本は3時間半早いわけですよね。このチームの中には12時間のAvailabilityがあります。

また、オーバーラップの時間があるということもあります。このオーバーラップを1人当たり持つということで、ここでコラボレーションができるという利点があります。祝祭日がありますが、グローバルですから、誰かがすでに働いています。よって業務に支障は出ません。

本番へのアクセス、例えばインシデントが起きた時にどうするのかという問題があるのですが、法的な要件がありますから、それ以外のところでは、本番環境にアクセスするときにはアクセスコントロールがあります。

@keigoand:また、期待ということで、これもみんなでお互い理解するのがいいと思います。コミュニティ・委員会のようなものがあり、Site LeadやCTOがいて、そういった人たちとも定期的にミーティングをしてサポートしてもらっています。

特に最初はより多くのミーティングを設け、お互いを理解するようにしています。またそれを文章化しています。いろいろなポイントについてお話をしますので、期待値を文章化したドキュメントがありました。

@keigoand :もう一つはHiringです。

インドオフィスの立ち上げを成功させるために、理想的ではないけどエンジニアリングマネージャーを採用する前に、現場のメンバーから採用をしました。エンジニアリングマネージャーを採用することは、より時間がかかるからです。プロセス自体はきちんとルール付けをしました。

Hiringだけではなく、採用後のチームの仕組みなどのオプションについてもマネージャー同士でディスカッションしました。

特に新しいことを始めるときにはいろいろな人を採用します。そこでは完璧な方法といったものはありませんが、プランが1回策定されるとあとは楽になっていきます。

@Sumil:それから、チームビルディングについてもたくさん話をしました。これは、日本人がインドのオフィスに来た時のものです。エンジニアたちがいろいろなことを一緒にやってるということで、非常に大きな絆を作ることができました。

インドオフィスがオープンして1年になるので、パーティを今週行います。非常に良いタイミングだと思います。このような形の新しい写真が各々増えていくと思います。

参考記事:Japan’s Largest C2C Marketplace Mercari, Expands Presence in India -Expands GCoE footprint and inaugurates new office-

@robert:最後に、今後についてお話ししていきましょう。

@keigoand:我々が改善すべき点は、監視やインシデント処理です。進捗は良いですが、さらに進めていく必要があります。また、サービスの統合をMarketplaceやメルペイチームと一緒に進めていきます。

@robert:また、メルペイ/メルコインについてです。Fintechは日本で行うため、法律の規制が伴います。ここでも、ベストプラクティスを共有することが大切だと思っています。
オペレーションやOKRを調整することが必要になると思います。日本リージョンからスタートして、メルカリ全体のために我々は仕事をしております。またいろいろなOKRのプライオリティの調整はなかなか大変ですが、今後も成長していきたいと考えております。こういったセッションは、ぜひ来年もやりたいです。

以上です。ありがとうございました。

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