【書き起こし】Merpay Tech Fest 2021 Keynote – 曾川景介【Merpay Tech Fest 2021】

Merpay Tech Fest 2021は、事業との関わりから技術への興味を深め、プロダクトやサービスを支えるエンジニアリングを知れるお祭りで、2021年7月26日(月)からの5日間、開催しました。セッションでは、事業を支える組織・技術・課題などへの試行錯誤やアプローチを紹介していきました。

この記事は、「Merpay Tech Fest 2021 Keynote」の書き起こしです。

[English] https://www.youtube.com/watch?v=nadtfAQRGP0

Merpay Tech Fest 2021 Keynote

曾川景介氏:それでは「Merpay Tech Fest 2021 Keynote」を始めたいと思います。私は、メルペイ取締役CTOの曾川です。ほかにもメルカリのCISOや、メルコインのCISOも兼任しています。

2018年の「Mercari Tech Conf」の振り返り

最初に、2018年の「Mercari Tech Conf」の振り返りから始めたいと思います。今聞いてくださっている方の中には、リアルタイムで聞いてくださっていた方もいらっしゃるかと思うんですけど、そのときメルペイはリリースされていなくて、メルペイのミッションをつくっていたので、そのときのミッションだったり、Mercari Xというものをつくりたいということを発表したと思います。

そのときメルペイはまだつくっている最中で、マイクロサービス化を進めているよとか、信用を想像していくよという話と、信用というのはメルペイにも、Mercari Xにも関係ある話なんですけど、Mercari Xは、さらにそれをブロックチェーンでメルカリのようなものをつくり直して、そういうコンセプトモデルとして発表しました。

きょうは、このときの続きをお話ししたいと思いますので、最初に2018年の「Mercari Tech Conf」について触れさせていただきました。聞いていない人も楽しめる内容になっているので、あくまでこのときに話したよねということを、皆さんに振り返りとしてお話しさせていただきました。

それでは、メルペイのこれまでの話をしたいと思います。

メルペイのこれまでのあゆみ

まず、メルペイは、2018年にApple PayでID決済を開始して、そのあとAndroidのおサイフケータイを開始して、そのあとにQRコード決済の提供を開始しました。2019年2月~3月にかけて立て続けにリリースをしたんですけども、これによってメルカリの中でモノを売ったお金が、コンビニエンスストアとか、レストランとか、ドラッグストアとか、皆さんの身近なお店で使えるようになりました。

そのあと、メルペイのスマート払い、今はスマート払いと呼んでいるんですけども、後払いですね。メルカリやメルペイの取引履歴から相当した信用を作ってお金を、その当時はチャージすることなくそのままお店で使えるメルペイスマート払いという機能を提供し始めました。また、ネット決済も提供を開始しました。

少しネット決済のことに触れたいと思います。ネット決済というのは、昔のメルカリとか今のメルペイは「なめらかな社会」ということをミッションに掲げていてサービスやプロダクトをみんなでつくっています。

どういうことをやりたかったのかというと、メルカリでモノを売って、そのお金がメルペイで使えるという、さっき言った決済の部分もすごく大事なんですけども、それと同時にメルペイで何かモノを買って、それをまたメルカリで売るという体験をつくりたいと思っていて、それをこのネット決済で実現しました。

そうすると何が起こるのかというと、二次流通というのは、これまで二次流通の中に閉じられていて、お金だったり、モノだったり、その二次流通の中で回っていきます。そのお金が二次流通に流れていくこともあるだろうし、逆に、一次流通で買ったものがそのまま二次流通に流れるという、お金の流れだったり、モノの流れが、もっとなめらかな社会をつくっていきたいというメルカリやメルペイのミッションに沿った、一つのプロダクトとしてネット決済をリリースしました。ネット決済はコンセプトとしてつくりやすいからやったんですけど、今後そういうことをもっと広げていきたいという思いがこのプロダクトには込められています。

最初の2019年は、いくつもリリースを立て続けにやっていて、これ自体、すべてがグランドリリース、一つのリリースじゃないことからしても、皆さん「どういうことなんだ?」ということを思ったかもしれません。メルペイがリリースを迎えるまでというのは、すごく紆余曲折があったんですね。

2019年にリリースしたものは、メルペイという会社ができたのは2017年の11月か12月なので、そのころからもたくさんあるし、さっき言った「Mercari Tech Conf」をやったのが2018年なので、そのあとずっとつくっているんですね。何があったのかという話をちょっとしたいと思います。

これは「メルカリ史上最大の難プロジェクト」です。最後リリースするときには、メルカリには「All for one」という、みんなで一つの成功にかけるというバリューがあるんですけども、その「All for one」からとった「All for one連携」というのが行われて、たくさんのメルカリグループのエンジニアの力を借りて、メルペイというプロダクトが完成しました。

ただ、すべてを出し終わったわけではなくて、大きい機能をリリースしていこうと思うと複雑性が高くなるので、いくつかのリリースに分割して、ある種、メルペイという実現したい世界観の最初のステップとしてリリースする、それを2019年2月~5月にかけてその部分を達成しました。

遅延に次ぐ遅延で、さっきちょっと話したんですけど、2017年に会社ができているんだけど、2018年の「Mercari Tech Conf」のときにはモノがないので、ビジョンとかミッションの話をして、みんなにはこういうことをやっていきたいとか、Mercari Xでこういうことをやりたいという話しかできなかったんです。

そういう意味では、きょうは、ここまでやってきたことを皆さんにお話しできますし、そのときに話した、これからどうやっていくかみたいな話もできるかなと思っています。なので、Mercari Xの続きになるような話もできるんじゃないかなと思っています。

すごく遅延したので、今となっては笑い話になっているんですけど、やっぱりプロジェクトをマネジメントするのは大変だったし、金融だったり、パートナーさまがいたりするので、そういう意味では、いろんなところに影響があるんですね。でも、ここの部分は改善されていて、大きいリリースをつくらないようにして、小さいリリースをしていくと。もちろん、マイクロサービスをつくっていくというのは、そういうところに意味がある、環境があるので、リリース単位を小さくすることで、今はこういったことは起こらないようになってきています。

今、マイクロサービスの話をしたので「Mercari Tech Conf 2018」のときに使ったスライドの絵をそのままわざと使っているんですね。マイクロサービスというのは、2018年にメルカリグループ全体で推進し始めたんですけど、メルペイというのは、メルカリの決済基盤みたいな形、ある意味、そういうものをマイクロサービス化する一つとしてリリースされています。もちろん、お客さまが使う部分はあるんですけど、お客さまが使うと同時に、メルカリグループで使っている決済基盤のマイクロサービス群でもあるとも言えます。

そのマイクロサービス自体も、2019年にリリースしたところからだんだん増えてきていて、左側の図だと、最初にリリースしたものが20個ぐらいしかなかったんですけど、今だと64個になってきていて、年とか月を追うごとに大きくなってきています。

それによって複雑性とかも増えてきているので、当然、マイクロサービスが増え続ければいいという話ではないと思うんですけど、そういう意味では、サービスがリリースされるとともに、このあとさまざまなリリースされたものをご紹介していくんですけど、マイクロサービスも増えてきています。

Kubernetes Podsのほうはタイムラインが左とはずれていて、横と全く同じタイムラインではないのでちょっと見にくいんですけど、1年ぐらい前は750個ぐらいしかなかったものから、今は1,220個まで増えて急激に大きくになってきていて、それはもちろんマイクロサービスが増えていっているという理由もありますし、利用していただいているお客さまが拡大しているというのが一つの大きな理由になります。

さて、リリースの話に戻ってきたんですけど、2019年のリリースのあとに、2020年のお話をしたいと思います。

2020年は、皆さんの記憶にもあると思いますが、コロナウイルス、COVID-19がわれわれの生活に多大な影響を与えました。その影響というのはメルカリグループにもあったし、メルペイにも当然ありました。

2020.7 「おくる・もらう」機能と「メルペイスマート払い」機能をリリース

そのときにリリースした機能というのが「おくる・もらう」機能と「メルペイスマート払い」機能をリリースしています。

どういう意味でそこをやったのかというお話をすると、送る側が、直接オフラインのお店で決済するという機能ではなくて、どちらかというとメルカリの中にあるポイントとか、メルペイの残高を友達とか家族に送ることができる。要するに、離れている友達に何か価値を渡したいとか、メルカリでモノを売ったお金を誰かに分けたい、そういったことをかなえる機能として「おくる・もらう」機能をリリースしました。

最初にリリースしたとき、こういう送金機能と言われるような機能をつくることは考えていなかったんですけど、このタイミングで、COVID-19でなかなか直接会うこともできない中で、どうやってお金を授受したらいいのかなといったとき、こういった機能があるといいんじゃないかなということで、おくる・もらう機能が開発されました。

それと同時に、先ほど話していたメルペイスマート払いは、定額払いという機能をリリースします。これは今までだったら翌月に払うという体系だったんですけど、そこからさらに分割して、もうちょっとロングタームでお支払いをすると。このときもやっぱり、いろんな人がCOVID-19があることで、よりお金の問題をシビアに感じていたと思いますし、僕もそういう問題があるということを認識していたので、よりロングタームで払えるメルペイスマート払いという、メルペイのスマート払いで培ってきた信用をさらにアップデートする形でスマート払いの定額払いを提供しました。

2020年11月 「d払い」との共通QRコード、寄付機能、「ふえるお財布」をリリース

そして、そのあとd払いとの連携です。2019年にもともとMoPAといって、共通QRコードみたいな仕組みをほかの会社と一緒にやろうと思っていたんですけど、なかなかそれが難しかったので、1社だけだったんですけど、d払いとメルペイのQRコードを共通にして、同じQRコードで支払えるようになりました。

これはどういうことかというと、お店にQRコードがいっぱいあると大変なので、一つのQRコードを表示しておけば、d払いのアプリでも、メルペイのアプリでも支払えるという共通QRコードとしてリリースしました。加えて、さっきの「おくる・もらう」機能もそうなんですけど、誰か困っている人とか、困っている自治体にお金を寄付したいということだったり、自治体の活動を支援したいというときに寄付する機能をリリースしました。

これはメルカリでモノを売ったお金がそのまま寄付できる機能です。こういう機能をリリースしていきながら、また同時に「ふえるお財布」という、まだまだこれもコンセプトという段階だと思うんですけど、機能をリリースしました。

こういう時期にお金の心配があると思うんですけど、お金がない、お金が足りないというところに対して、モノを売る、そしてメルペイスマート払いの定額払いをする、またメルカリでモノを売ってお金を返すみたいなことも大事なんですけど、逆に、将来の不安もすごくあるという、2020年のCOVID-19は皆さんにそういった思いをさせてたと思うので、お金が増えていくような、そういうことができたらいいんじゃないかと。

確かに、投資というのはすごく難しいので、その中でも簡単にメルペイの残高でお金が増える、そこから少しお金が増えるみたいな、貯金に似ているような貸付投資というんですけど「Funds」というサービスと連携することで、メルペイの残高が少し増えるというサービスをリリースしています。

そして、2021年。COVID-19は今年もまだ続いていて、もうワクチンを打った人もいるかもしれないですけど、そういう状況自体は今年も続いているんですけど、私たちは2021年もリリースをどんどん継続しています。

2021年3月:バーチャルカード」「マイナンバーカードでの本人確認」機能をリリース

2021年3月に、まず「バーチャルカード」という機能をリリースしています。皆さんが使っていただいているメルペイを開いていただくと出てくると思うんですけど、もともとこのApple Payの仕組みというのは、裏側でクレジットカードとつながっていたりするので、そこにあるクレジットカード番号をメルカリアプリの中で表示して、皆さんが使いたいネットショップ、クレジットカード決済機能があるインターネットのショッピングサイトで入力をすることで買い物ができるようになっています。

この機能を出すと同時に、もう一つ重要な機能をリリースしています。 これは、私がインタビューに答えたりして、皆さんに知ってもらう機会もあって、その記事を読んでいらっしゃる方もいるかもしれないんですけど、マイナンバーカードでの本人確認という機能をリリースしています。

これは、もともとeKYCであったりとか、本人確認はメルペイではすごく力を入れてやってきたんですね。eKYCというのは、画像を使って自分とセルフィーを使っているようなものなんですけど、それに加えて、もう持っている方も多いと思いますし、スマートフォン決済を普及させていく中で、QRコード決済と、マイナポイントと言われる、マイナンバーカードにひもづいた形でキャッシュレス決済を推進するようなポイントが連携が行われたり。

スマートフォン決済をやっている人は、キャンペーンに参加するためにすでにマイナンバーカードを持っていたりするので、それをそのまま本人確認に使うと。eKYCでマイナンバーカードと使って本人確認をすることもできるんですけど、マイナンバーカードというのはもともと証明書がその中に入っていて、その証明書を使ってその人が本人であることが確認できるような仕組みを構築しました。これはJPKIという、Japanese Public Key Infrastructureという、公開鍵認証の仕組みを使っているんですけど、それをスマートフォン決済としては初めて本人確認に利用させていただきました。

ぜひ、マイナンバーカードを持っていて本人確認がまだの人はやってほしいんですけど、すごく簡単にその人であるということが分かったりします。これはインフラとしてもすごく有用なもので、今後そういった本人確認をしてもらいたいときとか、もし、何か怪しい取引を行ったときに本人確認させたいというときも、その場でカードを読み取ることで本人であることを確認できるので、こういうものをスマートフォンだったり、インターネットの金融サービスの中ではすごく重要な機能になるんじゃないかなと思っています。

さて、こんな感じでたくさんの機能をリリースしてきたんですけども、この図とリリースの中で一貫してやってきたことがあります。

信用を創造する

それが「信用を創造する」ということです。これは会社の「信用を創造してなめらかな社会をつくる」というミッションの中に含まれているので、みんな「メルペイって、信用を創造している会社だよね」って思ってくれているかもしれないんですけど、どういうことをやっているのかというのを少し話したいと思います。

AIやデータと共に信用を創造する

よくクレジットカードをつくるときに勤続年数を聞かれたり、どこに住んでいますか、年収はいくらですか、職業は何をしていますか、家族構成はとか、そういう属性情報というんですけど、年齢はいくつですか、男性ですか、女性ですかとか、そういうことを聞いているんですね。

メルペイで信用創造をしようと考えたときに、私たちとしては、そういう属性情報を使った与信というところには抵抗があるんですね。皆さんに入力をしてもらわないといけないし、それってこれまでの社会で築き上げられてきた、ある種の先入観みたいなものがそこにあるので、もっとサービス利用を通じた信用の創造ができないかということで、スマート払いは利用情報をもとに信用を創造していきます。

これはデータをAIで処理することで信用を創造するという、新しい信用創造に取り組んできています。

メルカリ自体は、先ほどネット決済のところでも話したと思うんですけど、自分でモノを売ったり買ったりするので、例えば自分が出品する側だったら、出品してモノを送って評価してもらって売上金を受け取るとか。購入する側だったら、お金を先に払って受取評価をちゃんとするとか。

こういったやりとりのトランザクションが、一つのメルカリをするという行為の中にいくつものやりとりが入っていて、こういったものを一つのデータとして見ていくことで、取引実績に基づいたユニークなデータを持っているので、そこから、その人がちゃんと約束を守ってくれる人なのかということを判断して、そして新しい信用を生み出していくということをやっています。

生み出される信用というのは、与信だけではないんですね。どういうことかというと、与信という言葉がちょっと難しいかもしれないんですけど、与信というのはお金を払ってくれるだろうかというところだったりとか、お金をいくら使っていいよとか、クレジットカードとかお金を借りるときに使われる信用のことを与信と言うんですけど、それだけではないんですね。

さらなる信用の創造 – テクノロジーを駆使した不正対策

すごく重要なことが一つあって、ある種、与信をするということと同じことをほかのことにも活用できるんですね。テクノロジーを駆使した不正の対策に使うことができます。

どういうことかというと、AIとデータを活用するというのはさっきと同じなんですけど、さらにグラフを使ったりして、安心・安全のためのもう一つの信用を創造しています。これは、その人がどういう人なんだろうということを分かるということもそうなんですけど、お約束を守ってくれるという人は恐らく不正もしないじゃないですか。

もちろん、全く同じことをやっているというわけではないんですけども、AIを使うことで与信をつくることと同様に、この人のこの取引は、不正なトランザクションではないということを確認することができます。

今、信用創造の話をしたんですけど、このようにたくさんのリリースの中では、われわれはいろんな信用を創造してきました。決済することもそうですし、後払いをすること、本人確認をすること、そしてたくさんの取引をしていく中で不正利用を防ぎ、ユーザーさんに安心・安全なメルカリやメルペイを使ってもらうための技術の開発をしてきました。

決済サービスからFinTechサービスへ

たくさんのリリースとともに、最初は決済サービスから始まったんですけど、いろんな信用を生み出していく中で、メルペイ、メルカリというのは、FinTechサービスに変わっていったんですね。いろんなFinTechのサービスがあるんですね。それぞれ投資のサービスだったりとか、さっき言った信用を創造するサービスから、決済のサービスもそうですし、銀行みたいなものがあると思うんですけど、そういうFinTechサービスをどんどんメルカリの周辺に生み出してきて、それがメルペイなんですね。

決済とは何か?

きょう、皆さんにお話ししたい、私が話したいことを話そうと思って来たんですけど「決済とは何なのか?」という話をしたいと思います。これは社内でめちゃくちゃよくしている話で、決済サービスからFinTechサービスになったんだけど、そもそも決済って何なのかという、哲学的な問いだと思うんですけど、それにちゃんと答えておきたいんですね。

どうして答えるのかというと、これはすごく重要なことで、みんな、決済って何気なくお店でお金を払ったりとか、ネットショッピングをしたりということを決済するというふうに思っていると思いますし、僕もそうだと思うんですけど、決済というのは一つ重要な技術の塊というか、集合であると考えているんですね。

それをまず、皆さんにきょうはお伝えしたいと思います。

決済とは認証認可である

一言で、決済というのは認証と認可ですね。認証と認可をハンコみたいにしていますけど、昔は認可するときにハンコを押していたりしていたので、わざとこういうふうなスライドにしているんですけど、別にハンコが重要だということを言いたかったわけじゃなくて、認証と認可であるということを皆さんに理解してほしいと思っています。

どういうことかというと、決済をするというのは、その人が誰であるかを確認して、いくら使ってもいいよということを例えば加盟店とかに、この人の残高はいくらあるからこのお店でいくら使えますよということを認可する作業なんですね。なので、すべての決済というのは認証と認可であるということが言えます。

そして、これは重要なことなのですが、決済サービスの何とかペイの中で、度重なるいろんな問題があって、不正利用とか、セキュリティーの問題が起きたりするんですけど、大体これは認証と認可にまつわる問題であることが非常に多いです。

さっきJPKI、マイナンバーカードで本人確認をするという話をしましたけど、ログインする認証情報としてIDとパスワードとか、SNSで認証するとか、その人が誰で何かを持っていることをよって認証するとか、本人確認するときに、マイナンバーカードを持っているということによってその人であることを確認するということもそうなんですけど、そういった認証と認可を組み合わせることで決済というものは成り立っています。

逆にいうと、認証と認可をしない決済というのは、基本、成り立たないです。その人が残高、リソースを持っているということに対して確認がとれなければ、決済が成り立たないんですね。認証・認可というのはいろんなところで使われていますし、Facebookログインとか、Googleログインという形で使われているものそのものが、実は、決済とほとんど同じことをやっているということが、皆さんにきょうお伝えしたいことです。

これはすごく重要なことなんですけど、意外とみんな意識していなかったりするので、きょう一つ私から皆さんに伝えたいこととして、決済とは認証・認可なんだよということですので、皆さんに分かってもらえたらうれしいです。

mercoin

私の話したいことはすでに結構話したんですけど、きょうは、もう一つ重要な話をしたいと思っています。それが、メルコインの話です。

最初に「Mercari Tech Conf 2018」の話をして、Mercari Xも発表したよねという話をしたと思うので、そのときから3年ぐらいの間に、何回も仮想通貨、暗号資産とか、ブロックチェーンのテクノロジーをどう活用したらいいのかということは、私たちの中で議論してきました。

もちろん、ビットコインで決済できるとか、そういうことを指して言うこともできるんですけども、もっとそれを超えて、この技術を使ってどんなことができるのかということがわれわれの関心事項だと思うし、メルカリグループの中で暗号資産というか、ブロックチェーンのテクノロジーを使っていくことだと思うので、きょうはそれをお話ししたいと思います。

mercoinのミッション

ただ、しかしなんです。「Mercari Tech Conf」のときは、メルペイのミッションを皆さんにお伝えして、われわれは「信用を創造する」と。信用を創造するという意味の中には、さっき言った与信だったり、不正利用の対策をしていくとか、本人確認をするというような信用もあると、安心・安全のための信用もあると思うんですけど、もう一つ、貨幣的な概念の創造。要するに、ビットコインのような、貨幣の概念の創造することが挙げられます。

そういうことも含めてMercari Xの中では、取引する単位として、ブロックチェーンの中で使われるお金のような概念としてメルコインというものを発表していたと思うんですけど、メルコインというのは、私たちの今の状態ではそういったものではないです。

ブロックチェーンを活用したプロダクトをつくっていく会社なんですけど、ミッションは現在作成中です。なので「あのときはミッションを発表したのに、きょうは発表してくれないのかよ」と思ったと思うんですけど、どういったことをやっていくかというのは考えていますので、それをお伝えしたいなと思っています。

最後に、ミッションではないんだけど、こういうブロックチェーンを使って、みんなここにいる人はブロックチェーンを使ったりとか、ビットコインとか、決済とか、FinTechという言葉に対してワクワクしてくれていると思うんだけど、そのワクワクしている部分というのをお話ししたいと思います。

mercari Xについて

またMercari Xの話になるんですけど、Mercari Xを発表したときに、価値の発見をしたりとか、価値の交換、そして信用。メルカリというのは、そもそもこの3つを組み合わせていると。Mercari Xに限らず、メルカリを分解すると、価値を見つけて、それを交換して、そこで取引することに信用が生まれると。この3つが組み合わさるとサービスだと思うんですね。Mercari Xも、そういったものをブロックチェーンに置き換えるという話をしました。

そういう意味では、メルコインというのは、この3つのテーマに取り組むということに変わりはないです。どのすべても3つに関わるんですけど、価値交換だったり、価値の発見というのはメルカリ的な意味だと思います。

価値を交換する基盤、お金的な概念だったり、信用というところはメルペイ的な概念です。それが組み合わさったものがMercari Xであり、恐らくメルコインもそういうものになると思います。

これまでのテクノロジーへの投資

さて、Mercari Xは2018年に発表したんですけど、その前の2017年からMercari Xは社内で実験してきたりとか、R4Dという研究開発する組織をつくってきたりとか、メルカリグループはたくさんのテクノロジー投資をしてきました。

その中で、価値交換工学を開始したりとか、R4Dのボードを設立して、外部のアドバイザー、一緒に研究してくる仲間を集めるということをやってきました。

2020年には、ブロックチェーンやウォレットに関わる特許も取得したりとか、Mercari Xを進めるということもそうなんですけど、メルコインを始めるための準備をしっかりしてきました。

じゃあ、メルコインって一体何なんだよというというところが答えられていなかったので、もう少し答えたいと思います。

具体的には、これは既に発表していることでもあるんですけど「異なる価値の交換を可能にする」というプロダクトだと思います。

一つは、cryptoの交換、暗号資産の交換所とか、その売買だと思います。もう一つは、皆さんも知っている人もいるかもしれませんが、Non-Fungible TokenというNFTと呼ばれているものの売買とか、NFTを実際に売買する場所のマーケットプレイスをつくるということも挙げられると思います。

メルカリグループが、メルカリという中で二次流通をやってマーケットプレイスをやってきたように、暗号資産だったり、異なる価値、いろんな価値を交換できる場所をつくっていくということが、メルコインの中で取り組みたい具体的なテーマになっています。

中のイメージとして、メルコインが入ってきたらどういうふうになるのかというと、もちろんNon-Fungible Tokenが入ってきたら、またこの絵ではなくなってくると思うんですけど、メルカリの売上金からビットコインが使えたりとか、もしくはビットコインを買うことができたりとか、ビットコインでメルカリのものを買うことができるような、そういうことができるようにしたいと思っています。

要するに、メルカリのアプリの中に異なる価値もあるような状態をつくっていくというのがメルコインがやりたいことです。

さっきの具体的な話を、図を交えて話したいんですけど、メルカリというのはモノの価値の交換をやってきて、メルペイというのは信用、クレジットで買うときの与信の創造というものをやってきました。トラストということもできるかもしれません。本人確認をして不正利用を排除していくという意味では、トラストの創造もやってきました。

さらにメルコインというのは、こういったものを技術的にも発展させることも当然ですし、そのさらなる活用ということも考えています。その中の一つとしては、新しいマーケットプレイスをつくっていくということもあるでしょうし、モノとか信用の別の価値としてサービスというものが挙げられるのでそういったものだったり、所有権とか、トークンと言われているようなもの、セキュリティーとか、そういったものをメルコインの中では扱えるようにしていきたいなと思っています。

それはいろんな概念の集合でもあるので、デジタルコンテンツと言われることもあるだろうし、NFTと呼ばれることもあると思います。もちろん、皆さんが大好きな暗号資産もこの中に含まれると思います。そういったものを最終的所有することもすごく大事なんですけど、誰がに贈与するとか、渡すというようなこともすごく大事なので、メルペイで取り組んだような、ほかの誰かに寄付をするというようなこともできるようにしたいと思っています。

要するに、モノや信用に加えて、あらゆる価値が交換できるマーケットプレイスになっていくと。メルコインは、そういったものをメルカリとかメルペイの世界に広げていくということをやりたいと思っています。

mercoinを支える技術

どういう技術を使うのかということですが、もちろんブロックチェーンというのは重要技術になるんですけど、これを聞いている皆さんと一緒にメルコインをつくっていってほしいなと思っているんですけど、当然ブロックチェーンという技術を使っていくでしょうと。

でも、ブロックチェーンって何なんだっていうと、いろんなところで定義されているので見てもらったらいいと思うんですけど、一つは、台帳だと言われたりしますけど、その技術の集合というのは、cryptographiesだったりとか、Public Key Infrastructureと言われているような技術の集合だと私は思います。なので、これらの複数の技術を組み合わせてメルコインをつくっていくということになると思います。

もともと、メルカリとかメルペイ自体も、サービスをつくるに当たっていろんな技術を組み合わせて、また、われわれだったらいろんなクラウドの技術を使って開発をしていたりするので、そういったものを組み合わせてやっていくというのは、基本的には、メルカリとかメルペイでやってきたことと変わりはないです。

ただ、より重要な技術になってくるのは、やっぱり暗号、cryptographiesだったりとか、Public Key Infrastructure、誰のトランザクションであるかということを証明したりとか、誰がトランザクションを実行したかということを確認することができるという意味で、このPublic Key Infrastructureというのがすごく重要になると思っています。署名とか、そういった技術ですね。

mercoinは何をするのか?

何をするのかの議論でいうと、結局は、メルカリとメルペイの両方の領域に当たる部分がメルコインの領域になるので、メルカリだったりメルペイのエンジニアの人に関わってもらってメルコインを立ち上げているんですけども、今までメルカリでやってきたこと、そしてメルペイでやってきたことを活用するということが一つあります。

恐らく、メルコインというのは、新しいメルカリ的なものであり、新しいメルペイ的なものなんじゃないかなと思っています。なので、信用を創造するというテーマは、メルコインでも恐らく重要なテーマの一つだと思うし、新たな価値が生まれてくるような、価値を交換する場所としてのマーケットプレイスというのも、とても重要なテーマだと私は思っています。

今の話をまとめると、ブロックチェーン技術によって生まれる、分散型の新しいマーケットプレイスをつくるということが、最終的にはやりたいことなんじゃないかと思っています。メルカリを中心とした、安心安全な取引というのは、モノとかお金をやっていた左側の状態だったんですけど、いろんなお客さまがさまざまないろんな価値を取引するという、しかも、それを安心安全にやっていきたいということがメルコインでやりたいことになります。

最終的にそれがどういう形に行きつくのかというと、皆さんがブロックチェーンにワクワクしているように、多様な価値がブロックチェーンを使って交換されたりします。

その結果、何が生まれるかというと、新しい経済がポコポコ生まれてきて、それら同士が価値の交換をするというようなことが行われると。そういう新しい経済をつくっていくということが、メルコインを通じて私たちのやりたいテーマになってくると私は思っています。

メルペイとメルコインの未来

結局、メルペイとかメルコインの未来はどうなっていくかというと、多分、FinTechという言葉自体いろんな意味で使われているという話をしたと思うんですけど、FinTech+αということで、メルカリにFinTechが合体してメルペイが生まれたように、メルペイとかメルカリにFinTechがまた合体することによってメルコインも発展していくと思います。

なので、私たちはどんどん新しい技術を取り入れながら、さっきも技術の組み合わせだという話をしたと思うんですけど、FinTechが発展していくように、私たちのサービスも発展していくと思います。また、FinTechというのは、ほかのサービスにくっつくことで価値を発揮するんですね。そういう傾向がすごくあると私は思っています。

そういう意味では、メルカリだけではなくて、いろんなサービスとつないでいくことで新しいFinTechが生まれてくるでしょうし、そのサービス自体もアップデートされていくんじゃないかなと私は思っています。

だから、私たちのサービスを通じて、世の中にあるサービスだったりとか、世の中にある価値だったりとか、それを流通可能にしたりとか、そういったものをどんどんアップデートしていくようなことをメルコインを通じてやっていきたいと思っています。

最後、結論として私から皆さんにきょうのキーノートでお伝えしたいことは、メルコインにしても、メルペイにしても、そしてメルカリにしても、テクノロジーで社会をより良くしていく、そういったことを私たちはやりたいと思っています。

その結果、いろいろ困ることも出てきてしまうと思うので、さっきちょっと哲学の話もした、決済って何なんだろうという話をしたと思うんだけど、そのときに大事なことは、お客さまだったりとか、テクノロジーを使う人々だったりとか、社会にいる人々たちが、どうしたらもっと良い未来を生きられるかというところすごくよく考えて、そこに対して課題をちゃんと見つけて、その課題をテクノロジーで解決していくことで、社会を良くしていくことができるんじゃないかなと私は思っています。

私のキーノートは以上になります。きょうはありがとうございました。