この記事は、Merpay Tech Openness Month 2021 の22日目の記事です。
こんにちは。メルペイQAチームのエンジニアリングマネージャーの miisan です。今回はQAエンジニアとしてのお話ではなく、一人の女性エンジニアとして携わっている「メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクト」についてblogを書きます。
「メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクト」は、共感や元気をシェアする機会や、中長期的に仲間を見つけていくことで女性エンジニアを増やすきっかけを作り、お互いの成長を応援するプロジェクトです。
このプロジェクトでは、同じ方向に向かって肩を組む仲間を1人でも増やしたり、1人で悩みを抱えていた人の背中を少しでも押せるような活動を目指しています。
この記事では、「メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクト」ができるまでの道のりと実際の取り組み、そして私たちの想いを知ってほしいと思います。
目次
- 私たちの現在地
- メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクトについて
- Next generation will be proud of me.
- 一緒にプロダクトを作っていく仲間を募集しています
私たちの現在地
はじめに「メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクト」がどのようなものかをお話する前に、日本社会の実状について共有したいと思います。
ジェンダーギャップ指数
まず日本のジェンダーギャップの状況についてです。
世界経済フォーラム(WEF) が国別に男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数2021」というものを発表しています。そのなかで日本は、調査対象となった世界156カ国中120位という順位でした。これはG7の中でも昨年から引き続き、最下位という順位です。
そもそもジェンダーギャップ指数というのは
- 経済
- 教育
- 医療
- 政治
の4分野14項目のデータで、各国の男女の格差を分析した指数のことです。
特に、経済分野における格差は大きく、収入での男女格差(101位)、管理職ポジションに就いている数の男女差(139位)、専門職や技術職の数の男女差(105位)などは世界から大きな遅れを取っている結果となっています。
※参照:ジェンダーギャップ指数2021
IT分野のジェンダーギャップ
次にIT分野のジェンダーギャップについて見ていきます。
私はファーストキャリアからIT分野で働いてきましたが、自身の所属するチームやプロジェクトで女性エンジニアが過半数を超えたり、メンバーのジェンダー比率が5:5になるような経験はこれまでありませんでした。IT分野で働くみなさんもご自身の環境を見渡した時、近しい環境にあることが多いのではないでしょうか。
実際に、女性エンジニアは約20%ほどの割合という実状があり、さらに女性の管理職の比率にいたっては12%ほどの割合となっています。
学生時代にまでさかのぼると、高校生の時点で理系を選択する女子学生は30%程度しかいません。その後、大学では理学部・工学部に進学する女子学生がそれぞれ27.8%、15.7%に、大学院では23.9%、14.1%とさらに減っていきます。中・高・大と、どんどん理系志望の女性が減っている傾向にあります。
私自身学生時代は文系出身で、実際には文系出身のエンジニアもたくさんいますが、”理系女子”や”女性エンジニア"という存在はまだまだ希有なものとなっている気がします。
※参照:
メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクトについて
背景
メルカリグループではダイバーシティ&インクルージョンの体現を目指して活動しています。
私たちは
- お客さまにとっての「使いやすさ」の追求
- 全社員にとって公平な機会がある組織の構築
を実現しようとしています。
そのなかの一つの活動として、メルカリグループではこれまでダイバーシティ&インクルージョンの実現に向かって女性のエンパワーメントにつながる取り組みを多数実施してきました。
ですが、私たちはまだまだ実現したいゴールの道半ばにいます。だからこそ、多くの協力者とともに新しい取り組みに挑戦し、模索していく必要があります。
-
過去の取り組み例(女性のエンパワーメントに特化したもの)
プロジェクト発足までの道のり
さて、いよいよ「メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクト」の発足までの道のりについてです。
私たちメルカリグループはダイバーシティ&インクルージョンの実現に向けて活動していますが、2021年4月からメルペイ独自で女性エンジニアの採用目標が明確にたてられ、この活動ときちんと向き合うことになりました。”なぜこのタイミングで?”というと、この時期にメルペイ初の女性エンジニアリングマネージャーがメルペイに参画したということも大きなきっかけだったと思います。
最初に、Goのイベントやリファラルなどで女性エンジニアの採用母集団を形成し、採用につながるような計画を立ててみたところ、やはりというべきか当初計画していた採用目標通りにうまく進みませんでした。女性エンジニアの採用どころか、そもそも女性エンジニアの母集団を形成することすら苦戦しました。
メルペイ独自の活動を進めていくなかで、私たちは女性エンジニアを採用することの難しさを改めて感じることになりました。
「このままでは女性エンジニアの採用は難しい。」「女性がいなくても現状は困っていないから優先度を下げても良いのでは?」など、いろんな意見が交差するなか、それでもダイバーシティ&インクルージョンの実現に向け、いまできることはなにか考えました。
冒頭でも共有させていただいた通り、そもそもエンジニアになりたい女子学生も少なく、実際に働いている女性エンジニアも少ないのは紛れもない事実です。しかしIT業界には、少ないながらも働く女性はいるはずで、ロールモデルが少ないなかでも孤軍奮闘にがんばっている仲間はいると思いました。
私たちはまず、採用直結の施策や目標をたてるのではなく、共感や元気をシェアする機会や、中長期的に仲間を見つけていくことが最終的には女性エンジニアを増やすきっかけになると思い、私たちは新しい挑戦として、女性エンジニアを”アトラクト”する方向へ進むことにしました。
こうして、私たちは「メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクト」を立ち上げました。
直近の私たちのミッションは、社内で女性エンジニアを採用したいときや女性エンジニアを採用するときに「メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクト」に相談してもらえる存在になることです。
実際の取り組み
実際の取り組みとしては、正直まだ多くのことは発信できていません。なにせこのプロジェクトは2021年7月から本格始動したプロジェクトだからです。
今後私たちがやっていこうとしていることは、
- 社内で「メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクト」のやっていることを共有する
- 社外に活動や考えを発信する
- 女性エンジニアのエンパワーメント
といったことです。
社内外の仲間の輪を、まさにいま作っているところです。
Next generation will be proud of me.
なぜ私がこの取り組みに携わろうと思ったか
なぜ私がこのプロジェクトの取り組みに携わろうと思ったのかについて、最後に伝えたいと思います。
私はこのプロジェクトにマネージャーからアサインされたわけでも、プロジェクトメンバーにお願いされて参加したわけでもありませんでした。
2021年6月に Women’s Career Talk 〜Web / IT 企業に勤める女性のキャリア戦略〜 というイベントに参加者として私は参加し、このイベントをきっかけにただただ「私にもできることはないか?」と、イベント主催者だった micchie さんに声をかけてみました。そしてmicchieさんは私のことを快くプロジェクトメンバーに引き入れてくれました。
バトンを繋ぐ
よく勘違いされますが、別に私は大した野望を持ちあわせていないですし、大それた何かを実現したいわけでもありません。
このプロジェクトに自ら志願したことも、まったくすごいことではありません。micchieさんや心強いメンバーが他にもいたからこそ、一緒に歩みを進めることができました。「そこに仲間がいる」という事実が、私の勇気に変わっただけです。
同じように私がいることが、だれかの勇気に変わることをほんの少しだけ願っています。
私はイベントに参加して、自分と同じように悩み、苦しみながら、それでも懸命に新たな道を築きあげている仲間がいることを知りました。それは、同じように悩みを抱える人とただ出会えただけで私にとっては意味がありました。なぜなら、私はこれまで同じ悩みを抱える人と出会うことすらできなかったからです。
日本の社会課題でもある問題をたった一人や一企業だけで立ち向かうつもりはもちろんありません。けれど同じ方向に向かって肩を組む仲間がいることを発信することに、意味があるのだと思っています。
正直エンジニアを辞めようと思ったこともありますが、それでも私がエンジニアであること、私がここにいることを発信することで、たとえいま数字に見える形でなにも変化しないとしても、いつかなにかが変わるかもしれない。この仕事をいつまで続けるのか私にもわかりませんが、少なくともいまはこの仕事を続けることで私は未来にバトンを繋げたいと思っています。
Women’s Career Talk
そして「メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクト」の活動の1つとして、Women’s Career Talk vol.2を9/29に開催予定です。
Women’s Career Talk|Web, IT 企業に勤める女性のキャリア戦略 vol.2
現在エンジニアとして、マネジャーとして働いていて悩みを抱えている、もしくはこれから目指そうと考えているみなさんが、ロールモデル、キャリアモデルについて考えたり、勇気が湧いたりするような体験をお届けする予定です。心強い登壇者の方にも協力いただき、本イベントは開催します。
会社や所属団体の垣根を越えて、
- ライフステージやキャリアの変化
- 技術や仕事の知見をキャッチアップする、勉強する方法
- これからのキャリアをどう考えるか
などについて語り合う予定です。
私は前回のイベントをきっかけに、新しい繋がりや勇気を得ることができたので、ぜひ興味のある方はご応募ください。
また第1回目のイベントをきっかけに「なにかできないか?」と思った私のような、第2、第3のサポーターになってくださる方も社内外からお待ちしています。
この業界、さらには社会全体のダイバーシティーやインクルージョンに関する課題解決のために、メルカリグループはこの現状と向き合い、今後も邁進していくはずです。
たった一人でなにかを変えたり、一人で走りきることは難しいですが、共に肩を組み、輪となり、それを広げていくことで、少しずつ実現したいゴールに近づけるのだと思います。
「メルペイ女性エンジニアアトラクトプロジェクト」は今後も仲間を増やし、小さな積み重ねの先にある、大きな変化を目指していきます。
いつかこのプロジェクトがなくても大丈夫な時代や”女性エンジニア”が特別な存在でない世界になることを願いながら、まだ見ぬ仲間たちのために小さな1歩を作っていきます。
一緒にプロダクトを作っていく仲間を募集しています
メルペイではエンジニア・エンジニアリングマネージャー・プロダクトマネージャーと様々なポジションで一緒に働く仲間を募集しています(募集ポジションの詳細は こちら )。まだまだ新しいサービスを立ち上げていく攻めのフェーズでもあり、自分の職種にこだわらず領域を超えて活躍していくような働き方を求めてる方をお待ちしています。
明日の記事は @a-r-g-vさんです。引き続きお楽しみください。