技術コミュニティを支援する「Mercari Tech Sponsorship Program」

Mercari Advent Calendar 2017 24日目の記事です。

こんにちは!組織開発とエンジニア*1採用に責任を持つEOT(Engineering Operations Team)の @jollyjoesterです。

今日はメルカリの技術コミュニティへの支援のあり方と、今後より支援を強化していくための制度「Mercari Tech Sponsorship Program」についてお話をしようと思います。

メルカリの技術コミュニティへの支援

メルカリは技術コミュニティへの支援を積極的に行っています。

というのも近年のテクノロジーはOSS等のオープンな技術に支えられており、メルカリも例外ではないからです。

オープンな技術の多くは世の中の多くのエンジニアが集まった「技術コミュニティ」によって作られ、日々メンテンナンスされたり、改善されています。そのため、技術コミュニティが活性化すれば技術はより良くなり、メルカリも含めた世の中全体が技術の恩恵にあずかれます。逆に、技術コミュニティが停滞してしまえば、世の中も困ってしまいますし、我々も困ります。

なので技術コミュニティを支援して、維持・活性化に貢献することは、メルカリ自身のためにも世の中のためにもなると考えています(もちろん、技術コミュニティを支援をすることにより、その技術領域を牽引する存在であると見られたり、より多くのエンジニアに認知してもらいたいという意図もあります)。

技術コミュニティへの支援のあり方

技術コミュニティへの支援の仕方には様々あると思います。

例えば個人であれば下記のように支援をすることができます。

  • OSS等にコミットする
  • カンファレンスや勉強会を主催・運営する
  • カンファレンスや勉強会で登壇する
  • 技術を使ってBlogにノウハウを書く

などです。

一方、企業だからこそできる支援もあります。

  • カンファレンスにスポンサーする(最近は個人スポンサーも増えてきていますが)
  • 勉強会等の会場を提供する
  • OSS等のコミッターとしてエンジニアを採用する

などといった支援は、企業だからこそしやすい支援なのではないでしょうか。

メルカリでも様々な形で支援をしようと試みています。

例えば会場提供としては、Go Conference 2017 Autumnなどで支援をしています。

また、OSSのコミッターとしてではないですが、メルカリのグループ会社ソウゾウでは稼働の50%以上を技術コミュニティの貢献や技術の普及に取り組むエキスパートチームが存在します。

tech.mercari.com

そしてやはり重要な支援の形と考えているのが技術カンファレンスへのスポンサーです。

技術カンファレンスへのスポンサー

カンファレンスという特別な場を支援する

PublicなSlack上やメーリングリストなどで議論するのもありですが、実際にエンジニア同士が顔を合わせて議論ができるカンファレンスは特別な場だと思います。実際に顔を合わせるとより白熱した議論や交流ができますし、知識やノウハウの共有によって業界全体のレベルが底上げされます。そして何よりも大事だと思うのはカンファレンスに参加すると我々エンジニアのモチベーションが上がる点です。

カンファレンスですごいエンジニアのセッションを聞いたり、最先端の技術に触れると否応無しにテンション上がりますよね。そして「このレベルに自分も到達したい」「次は自分も登壇するぞ」など次のインプット/アウトプットへの意欲が猛烈に駆り立てられます。そんな熱量の中から新しいアイデア、多くの優秀なエンジニアが生まれていくと感じています。そんな土壌となるカンファレンスを支援しないわけにはいかないですね。

社内メンバーを支援する

メルカリにはカンファレンスでの登壇者や、オーガナイザー、スタッフとして運営に関わるエンジニアが多くいます。技術カンファレンスへの支援はそのような社内のエンジニアへの支援という意味でも重要視しています。

自分が真剣に取り組んでいる技術領域のコミュニティに貢献したいというのはエンジニアにとってとても自然なことだと思います。しかし登壇するにしても運営に関わるにしても、並外れたやる気と労力が必要です。もし会社がコミュニティへの貢献を応援してくれればかなりやりやすくなりますよね。ということでメルカリはコミュニティへ貢献したいという情熱を持ったメンバーを支援する意味でも技術カンファレンスへのスポンサーをします。

技術コミュニティに不足しているものを埋める

また、技術コミュニティに不足しているものを埋められる形だからという点でも技術カンファレンスへスポンサーする理由でもあります。

オープンな技術コミュニティというのは、往々にして企業のような強固な繋がりではなく広く緩い繋がりで集まっている集団です。それゆえ物質的なもの、特にお金が不足しがちです。お金を出すということについてあまりおおっぴらに言われることが少ないですが、メルカリのような企業が技術コミュニティに対してお金を出すというのは、そのような不足しがちな部分を埋めて大きく価値を出せるポイントだと考えています。

(筆者個人としてもSwift愛好会というコミュニティの主催したり、try! Swift Tokyoのオーガナイザーをしたりしてきた中で、いつも困っていたのが会場や運営費といった物質的なものでした。そんな中、会場提供をしてくださったり、スポンサーをしてくださった企業があったからこそコミュニティを継続することができたという実感があります。)

どんなスポンサーをしてきたか?

さて、そんな思いで技術カンファレンスにスポンサーをしてきましたが、ここでは2017年にメルカリがスポンサーしてきたカンファレンスをいくつかに絞って振り返ってみたいと思います。

builderscon tokyo 2017

buildersconは技術を愛する人たちのためのお祭りです。主にWeb関連の技術を中心に、言語を問わず様々なジャンルのエンジニアが集まり知見を共有する場です。このような熱量に満ちた場・・・いいですよね。何か新しいものが生まれて来る気がします。メルカリもこのお祭りをもっと盛り上げたく、そして少しでもこのコミュニティの力になれればと思いスポンサーしました。このような場がもっと増えて欲しいですね!

PHPカンファレンス2017

メルカリのAPI開発で使用しているメイン言語はPHPです。PHPコミュニティには感謝を込めて、そしてこれからも発展してもらうべく少しでも支援ができればと思っています。

PHPカンファレンスはメルカリのAPIエンジニアである @hiraku@souta1256 がスタッフを務めていたりもします。PHPカンファレンス福岡2017やPHPカンファレンス関西2017でもスポンサーをしました。

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try! Swift NYC, Tokyo

海外カンファレンスへもスポンサーしています。

国際的なSwiftのカンファレンスであるtry! Swiftには世界中のSwiftエンジニアが集まります。メルカリのミッションは “新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る” ですから、技術に関しても日本に留まらず世界中のエンジニアともどんどんディスカッションをしていきたいです。

ちなみに来年の try! Swift Tokyo 2018 は筆者もオーガナイザーの1人として運営に携わります。日本にいながら海外の著名なエンジニアと議論できるお得なカンファレンスだと思いますのでぜひお越しください。

DroidKaigi, iOSDC Japan 2017

メルカリメンバーがオーガナイザーやスタッフをやっているカンファレンスとしてはDroidKaigiiOSDCもあります。いずれも国内最大級のモバイル関連のカンファレンスですがDroidKaigiはエキスパートチームの @mhidaka がオーガナイザーを、iOSDCは ソウゾウiOSエンジニアの @motokiee が 運営スタッフの副隊長を務めるなど精力的に活動しています。もちろん会社としても最大限支援していきます。

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NLP若手の会(YANS2017)

YANSとはYoung Researcher Association for NLP Studies の頭文字をとったもので、 自然言語処理および関連分野の若手研究者・若手技術者の交流を促進し、若手のアクティビティを高めることを目指したコミュニティです。

このような技術開発や研究のような領域への支援も積極的に行っていきたいですね!学生が学ぶ場への支援という意味でもスポンサーしがいのある会でした。

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GDG DevFest Tokyo 2017

Google Developer Group (GDG) は、主に Google のテクノロジーに興味のある人たちで情報を共有しあうコミュニティです。東京で活躍している 14 のコミュニティがオーガナイザーとなってDevFest Tokyo 2017は開催されました。

ここではメルカリは託児所スポンサーをしました。もともとメルカリは社員が思いっきり働けるように「merci box」という人事制度で、出産・育児をはじめとしたライフイベントを迎えるメンバーへのサポートしてきました。この託児所スポンサーはそんなメルカリの考えとも通じるところがあり、育児中のエンジニアが気兼ねなくカンファレンスに参加できるよう託児所の設置を後押しするものです。このような観点の支援も今後どんどん実施していきたいです。

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KubeCon + CloudNativeCon North America 2017

メルカリにおいて重要なインフラになりつつあるKubernetesとクラウドコンピューティングモデルの利点をフル活用するCloudNativeという考え方に関するカンファレンスです。アメリカのテキサス州オースティンで開催され、メルカリのSREメンバーも参加してきました。

このような新しい技術を使っていくのは試行錯誤の連続ですから、その領域での第一人者や様々な事例に触れるというのは大事なことです。そのような中でも領域を引っ張っていける存在でありたいということでスポンサーをしました。

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Mercari Tech Conf 2017(MTC 2017)

スポンサーではないですが、メルカリ主催のカンファレンスも開催しました。メルカリのアプリはグローバルで合わせて1億ダウンロードを突破しました(2017/12/16)。そんな我々だからこそ持っている知見やビジョンがきっとあると思っており、それらを共有することで技術の領域を活性化することに繋げていきたいです。

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今後どのように支援していくか?

メルカリは新しいテクノロジーで世の中にインパクトを与えられる企業を目指しています。先日発表したメルカリの研究開発組織「R4D」のように社内でも新しい技術に投資していきますが、それだけではなく、様々な技術コミュニティが継続して活発に活動できるよう投資することで世の中を変える技術が生まれることに寄与したいと考えています。

なので今後よりいっそうの支援をしていくために一連の技術コミュニティに対する支援を

「Mercari Tech Sponsorship Program」

と名付けることにしました。

意図としては

  • メルカリが技術コミュニティを支援しているということを知ってもらいたい
  • 制度化してより効果的な支援を実施できる体制にしていきたい
  • そしてこの支援を継続的なものにしていきたい

という思いがあります。

ですので、技術コミュニティを活性化したいと考えている方はぜひ一度「Mercari Tech Sponsorship Program」にお問い合わせください!技術コミュニティの未来をぜひ一緒にディスカッションしたいと思っています。

Mercari Tech Sponsorship Programへのお問い合わせ

まとめ

メルカリは今後もより一層技術コミュニティへの支援をしていきます!

ご質問等あればお問い合わせ@jollyjoester までご連絡ください。

ラスト25日目は @sotarok が締めます。

*1:メルカリが現時点で用いている技術は主にソフトウェアであるため、本稿で用いている「技術」「エンジニア」といった言葉は、主にソフトウェア技術、ソフトウェアエンジニアのことを意図しています。将来的にはハードウェアの領域も増えていくかもしれません。

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