こんにちは、Androidチームの@tomoaki_imaiです。1月よりメルカリUSオフィスに出向となり、サンフランシスコにて日々サービスを開発しております。慣れない生活の中、ぎっくり腰になったり銀行口座が凍結されたり色々ありますが元気にやっております。
さて、今回は3/17-18にサンフランシスコで開催された、AndroidのカンファレンスであるDroidCon SFについてレポートします。
DroidConとは
DroidConは開発者が中心となって開催しているAndroidデベロッパーカンファレンスです。これまでアメリカ以外にもヨーロッパ各地、インドなど世界中で開催されています。日本では今年2月にDroidConから刺激を受けてDroidKaigiが開催され、弊社の @operandoOS が発表しておりました。なお、サンフランシスコでの開催は意外にも今回が初めてとのことです。
会場のFort Mason Center
オープニングセッションにて主催者のBoris氏
DroidCon SFの様子
まずはDroidCon SFの雰囲気がどのようなものであったかを写真を交えつつお伝えしたいと思います。
セッション
メイン会場でのセッション
その他のセッションはカーテンの仕切り
セッションはGoogleのAndroidエンジニアによる次世代OS Android Nの新機能に関するキーノートから始まって、2日間で合計61のトラックがありました。同じ時間帯に常にほぼ4トラックが走っており、どれに参加するか毎回悩まされました。
セッションは通常のプレゼンテーションとハンズオンセッションがありました。
サンフランシスコには著名なAndroidエンジニアが在籍するスタートアップがいくつもあるためか、プレゼンターはAndroid界隈では一度は耳にしたことある人が多かったです。あのエンジニアは今こんなことに取り組んでいるんだ!と興奮しながら話を聞きました。
ハンズオンセッションでは、Firebase、Adobeなどデベロッパー向けのサービスを提供している会社が自社のSDKを用いて実際にアプリケーションを作るデモがあり、そばで立ち見しているだけでも参考になりました。
スポンサーブース
スポンサーブースではFacebook、Google、UberなどSFやシリコンバレーを代表する有名企業からスタートアップまで幅広く展示が行われていました。
スポンサーブースで驚いたことは各企業がGoodies(企業グッズ)に非常に力を入れていたことです。
下の写真のように企業ステッカーに始まりTシャツ、保冷マグ、はては充電バッテリーまで無料で配布していました。日本だとスポンサーブースでちょっとした景品はあっても、ここまで豪華なことは経験がないので、広告にものすごく力を入れる文化なんだなと感じました。
大盤振る舞いのFirebase
歩きまわってGetしたGoodies
ネットワーキング
ランチタイムやセッションの合間はエンジニアのネットワーキングが積極的に行われます。
自分はヘタレなので、こういう時なかなか交流できないものの、 “自分の作っているプロダクト”、”おもしろかったセッション”、この2つだけはきっちり英語で話せるようにしておけば、なんとかなるなと思いました。
ランチコーナー
休憩ラウンジはゴロゴロできる
日本のカンファレンスとの違い
日本で自分が参加したカンファレンスとの違いも挙げておこうと思います。
- 参加費
DroidConの参加費は約$300でした。日本のカンファレンスだと10000円を超えるものはほぼ無い(参考までにDroidKaigiは6000円)ので、日本のカンファレンスはリーズナブルなのかもしれません。一方でこの価格設定のため、本当に熱意がある開発者が集まっているとも言えます。 - 設備の違い
DroidCon SFにはWifiがありませんでした。これはさすがに皆不満気でした。またセッションブースもメインブース以外はカーテンで仕切られており、外の騒音がかなり響いていたのが気になりました。日本のカンファレンスだと音にはかなり配慮するので、この辺は大雑把というか、改善の余地がありそうだなと思いました。
DroidCon SFで感じたAndroid開発のトレンド
残念ながらほとんどのプレゼンテーションのスライドはまだ公開されていないのですが、セッションを聞いて感じたサンフランシスコでの開発トレンドについて書きます。
武器(フレームワーク、ライブラリ)は揃った。どうやって磨く?
いくつものセッションを聞いて感じたのは、Android開発における必要なものはあらかた揃ったので、それらの使い方をさらに改善する手法に注目が集まっているということです。
例えば、ライブラリとしてはRxJavaやDaggerはもはや必須といってよいかの印象を受けました。RxJavaについては自分が確認しただけで3つもセッションがありました。Daggerについてもライブラリ開発者のいるSquare社によるプレゼンテーションがあり、さかんに議論が行われていました。
またフレームワークについてもMVPかMVVMが主流となり、どうやって実装していくかに強い関心があると感じました。例えば、Lyftの開発者がScoopというViewベースのフレームワークについてプレゼンテーションしていたのですが、”MVPでの実装例を教えてくれ”という質問がもっとも多かったとプレゼンターは話していました。
その次のAndroidは?
一方で、”その次”を見据えた野心的な発表もいくつかありました。
Kotlinのセッションでは、実際のユースケースを踏まえ導入のメリットについて発表があり、明日にでも導入したくなるくらい存分にKotlinの魅力を伝える内容でした。資料が公開されていないのがとても残念です。
またユーザーの環境によってUIが変異するMutative design(blog,github)というデザイン・メソドロジーも大変興味深かったです。これらがメジャーとなるのはまだまだ先の話ですが、想像するだけでワクワクしました。
Android N
Android Nについてはまだプレビュー版ということもあり、キーノート以外ではDroidCon SFではほとんど話題になりませんでした。ですがつい先日、このキーノートで発表されたAndroid Nの新機能について動画が公開されたので、ここで共有しておきます。Googleの開発者によるものなので、現時点で全ての情報が網羅されていると思います。
まとめ
初参加のDroidConは大変内容の濃い2日間でした。Androidは学ぶことや新しいことが次々でてくるのですが、一方で色々な手法が模索できることもAndroidの面白いところです。ユーザーにとって一番メリットがある方法を選びつつ、よりよい実装をしていきたいと改めて感じました。