はじめまして。Androidエンジニアの@tomoaki_imaiです。
7/13 – 7/14 にシリコンバレーにあるGoogle本社にてGoogle Developer Ecosystem Feedback Summitというイベントに招待されたので、その参加レポートを書きます。
Google Developer Ecosystem Feedback Summitとは
Google Developer Ecosystem Feedback SummitはGoogleのプロダクトについて、世界各国のデベロッパーが直接フィードバックを行うイベントです。また、Googleからは今後6~9ヶ月のプロダクト・ロードマップがプレゼンされ、それに関してのディスカッションも実施されました。
参加者
イベントに参加したデベロッパーは14名でした。参加者の出身国はカナダ、ブラジル、スウェーデン、トルコ、イスラエル、南アフリカ、インド、タイ、韓国、日本と、世界各国から招待されていました。また、扱っているサービスについても、ゲーム、フィットネス、ニュース、交通、オンラインサーベイ、写真編集、eコマースなど、実に多岐に渡っていたのが興味深かったです。参加者はほぼAndroidかiOSのエンジニアでした。
参加者については、事前にビデオ会議でのフィードバック・インタビューがあり、それに基づいて選ばれていたようです。
上はAndroidの像たちが置かれた広場の前で撮影した、参加者 & アテンドのGooglerの集合写真です。
1日目:フィードバック・ワークショップ
初日は参加者同士の交流と、次の日のフィードバックセッションに向けてのワークショップが実施されました。
午前中はGoogle IOのキーノートの登壇者が全員受けるという”Speechless”というプレゼンテーションのトレーニングがありました。
トレーニングと言っても激しいものではなく、ミニゲームが中心の内容でした。例えば、与えられたキーワードから連想される体験を皆の前で話したり、想像上のプロダクトに関する即興演劇にチームで取り組みました。そういったトレーニングを通じて、自分をどう表現するかということを学びつつ、参加者同士の親睦も深められました。
昼食後はビデオ会議ですでにフィードバックした内容をさらに深めるためのワークショップが開かれました。今回のサミットでは、Development, Analytics, Growthといったトピックについて高いプライオリティが設定されていましたが、それぞれについて各デベロッパーから多数の意見や、改善すべき点が述べられました。
2日目:フィードバック・サミット
朝、Google本社の会議室に着くと、カメラが多数設置され、物々しい雰囲気でした。
会場には3、40人くらいのGoogleのプロダクトマネジャーやデベロッパーがぞくぞくと集まってきて、サミットが始まりました。
会場に設置されたカメラ
デベロッパーは壇上へ
セッションで出たフィードバック
セッションでは様々なフィードバックがありました。私が覚えている範囲では以下のようなものがありました。
開発
- iOSと比べて多数の端末をテスト・対応することが常に難しい
- C++ライブラリでproguardを利用した場合に、メソッドが見つけられなくなる、C++がAndroid Studioで使えない
- 画像表示のベストプラクティスやネットワーク関連のサポートライブラリがなく、Square社を筆頭としたサードパーティに依存している
- Google SDK起因によるiOSアプリでのリジェクトがある
分析・クラッシュレポート
- GDC(Google Play Developer Console)から取得できるクラッシュレポートの使い勝手がよくない(なお、参加者の9割はCrashlyticsを利用していました)
- GDCの段階リリースの機能を改善してほしい(A/Bテストが実施できるようにしたり、特定の端末や国に限定してほしい)
- Google Analyticsの上限緩和や、導入方法の改善を進めてほしい
- GAやその他の分析ツールを一つのインタフェースで扱えるようにしてほしい
マネタイゼーション
- iOSに比べてAndroidユーザーのLTV,CVRが低い(インドでは数%のiOSのユーザーが多くの利益をあげている)
- Adwordsなどの広告CPIがFacebookと比べても高いが、CVRを比較した時にほとんど変わらない
- Google Play Storeの課金最低価格を変えられるようにしてほしい。クレカ以外の支払い方法を検討してほしい
興味深かった点
このセッションにおいて、興味深いと思った点は2つありました。
ひとつは、多くのデベロッパーが共通の課題を抱えているが、Googleの社員には届いていないケースが実は多いということです。セッション中はGoogle社員からの質問が頻繁に飛び、緊張感がありました。
またセッション後の個別の交流会では、Android Studio(Androidの開発環境)の開発者が私に話しかけてきて、開発時の使い方や困っている点について1時間弱議論しました。彼らも今回のSummitで明らかになった課題を解決したいと考えているのだなと感じました。
もうひとつは、(セッションからはそれますが) 各国のアプリ事情についてです。例えばインドでは、国民の多くがクレカを持たないためにGoogle Play Storeでの課金が出来ないことや、一般市民の収入が $数 ~ $10/日であるため、設定価格の下限である¢99は課金するには高すぎる、といった話がありました。
こういった事情はその国の人にしかわからないことなので、大変参考になりました。
その他のアクテビティ
サミット中の空いた時間はGoogleの社内ツアーや、ディナー・パーティーなどが開催されました。
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社内ツアー
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ディナー
Summitに参加した感想
普段、Googleで実際に開発にあたっているエンジニアやプロダクトマネジャーと直接プロダクトについて議論したり、課題を共有する機会というのはあまりないことなので、大変貴重な経験でした。
また、参加していたデベロッパーの積極性に驚かされました。セッション中も物怖じすることなく発言しますし、Googlerにもどんどん話しかけて改善点や情報共有していました。彼らからは良いプロダクトを作りたいという強い想いを感じました。国際色豊かな参加者でしたが、英語力についても全く問題なかったのも印象的でした。
メルカリでも良いプロダクトを作れるように取り組んでいきたいと思います。